ヤドリギ


暮らしとの関わり
 石黒では「ホヤ」と呼んだ。(ホヤ・ホヨは古語)
 石黒では主にブナの木に見られる。たまにサワグルミやナシなどにも見られる(左上写真は落合集落入り口のブナの木・右上は上石黒タカトコの梨の木)
 筆者の観察した限りでは、何れの個体も一定の大きさ(径50pほど)にしか成長しないようだ。正確に調査したわけではないが、家主の個体の生長を阻害しない程度のものがほとんどである。その上、ヤドリギは葉緑体を有し栄養の自給もできるのだが、さすが上写真のように沢山のヤドリギがついた場合は通常の生長にある程度の影響を与えるものであろう。
 昔の子どもたちにとって、ヤドリギは、大木の高い枝に生育するため、簡単には取れないこととプロペラのような葉が珍しいことで、珍重された。
 筆者は、子ども時代一度、木に上って株ごと採ろうと試みたが、あたかもブナの枝そのもののごとく密着していて驚いて諦めた記憶がある。ブナの木肌は滑り、木のぼりの得意な昔の子どもにも苦手の木であった。
 ヤドリギを丸ごと採取する機会は、残雪の季節に薪にするために伐倒された大木にヤドリギがあったときであった。また、冬の降雪がヤドリキの込み入った葉に溜まるたるめ雪解け頃に脱落しているものを見かける。
 石黒では落葉後の広葉樹についたヤドリギは普通に見ることができる。→参考写真
 できるだけ近年中に是非花の接写写真も撮りたいと念じている。また、果実が赤く熟すアカミヤドリギがあるといわれるが、石黒では今のところ確認しない。来年(2011)は体調を整え、望遠レンズを使って2月〜3月初めに広範囲調査してみたい。
 筆者の調べたところでは石黒地区ではアカミヤドリギは自生していないと思われるが、見かけた方があったら是非聞かせていただきたい。

(写真上2007.1.30上石黒嶺坂 右上中下2005.4.28上石黒)


       ブナの大木上のヤドリギ

 写真上2004.12.18落合(背景は嶺坂) 
    
             群生の様子

写真上2007.1.30上石黒嶺坂
解 説
ヤドリギ科
 北海道から九州までの落葉樹に寄生する雌雄異株の常緑低木。主にブナミズナラサワグルミなどの落葉高木に寄生する。
 葉は肉厚で対生(上写真)。茎は二股に分かれて無毛で緑色。
 花期は2月。花が咲き秋に黄色い果実がつく。果肉の液には非常な粘りがあり野鳥の消化器を通っても木に付着する。
 また、嘴に付着した粘液を取ろうと木にこすりつけると幹が傷つきそこに種子が着いて発芽し樹木から水分と養分を吸収して育つ。 大きさは5、60pどまりである。
 名前の由来は宿り木、つまり寄生木の意味。



    サワグルミについたヤドリギ

写真2008.2.16下石黒

       3〜5見られる葉脈
 写真2006.4.24上石黒    


         断面写真


写真2013.4.23石黒城山
※外側の緑色の部分は柔らかいが白色を帯びた内側部分は堅い。