ミズナラ
暮らしとの関わり
 石黒ではブナに比べ、ミズナラやコナラは少ない。ブナの群生は至る所に見られるがナラの群生はまれである。とくにミズナラは少ない。また、ミズナラの大木に成長したものも少ない。筆者が石黒でみたものは径30pどまりで低木状のものが多い。
 とはいえ、日本のミズナラは、用材としても良質で明治時代には、ウイスキーの醸造樽材としてヨーロッパに輸出されたという。
 また、ミズナラは、昔の子どもにとってはドングリのなる木として親しみのある木であった。ドングリに楊子を差し込み独楽をつくって遊んだことを憶えている人も多いであろう。筆者の観察によれぱ、ミズナラのドングリはコナラに比べて大型で袴(殻斗)は深いように思う。
 今日(2016.10.15)朝から快晴であったので石黒の畑にゴーヤの支柱撤去に出かけた。昼食後に、近くの山に入ってみるとミズナラの果実が道にいくつか落ちていた。私には例年の果実より大型のように思われた。昨年は豊作であったが、今年は凶作で結実数が少なく、その分大型のかも知れない。(ブナの結実も今年は良くない)
 とにかく、今年のクマの目撃数は非常に多いことは確かだ。
 子どもの頃に、祖母から「昔は凶作の年にはドングリをあく抜きをして食べたものだ」と聞いたことがある。以前に一度、囲炉裏で焼いて食べてみたが、とても渋みが強くとても食べられた代物ではなかったことを覚えている。また、子どもの頃、晩秋にドングリ拾いに行くと、既に根が出ていてがっかりしたことを憶えているが、それは春一番に発芽できるための戦略であることを今にして知ることが出来た。
 また、葉脈の上につく真珠のように美しく甘い汁をふくんだ虫えい(タマ蜂の虫えい→ナラハウラマルタマフシ)を子どもの頃には好んで食べたものだった。とくに、太平洋戦争の敗戦前後の食糧難の時代は色々な草木の果実や茎葉や虫えいを食べた。今でも出会うと、そっと食べてみる。すると、微かな甘味と香りが、70年前、採って食べた場所のみならず一緒に食べた友の顔までも蘇らせてくれる。
 春の若葉にくらべて秋の紅葉は黄褐色で見栄えがしないが、若木で赤く紅葉するものも時々見かける。→参照画像

(上写真2005.6.18板畑 右上2005.10.4下石黒 右下2005.10.8大野)

※→コナラとの比較画像

          開花期のミズナラ

写真2009.4.30小岩峠

             夏期のミズナラ

写真2011.9.13下石黒

             葉のつき方
写真2011.9.13下石黒

              葉の様子拡大

写真2009.5.20 上石黒

             葉の形と幼果

写真2010.9.10板畑

            晩秋のミズナラの葉

写真 2019.11.17下石黒

         ミズナラの黄葉

写真2005.12.2下石黒
 
解 説
ブナ科
 北海道から九州に自生する雌雄同株落葉高木
 高さ30mにも達する。樹皮は成長にともない縦に深い溝を形成する。
 葉は極めて短い柄
(下写真)があって互生し、長さ6〜20pで大形、やや枝先に集まってつき、縁には粗い鋸歯がある。
 花は小型で雄花は新枝の下部から垂れ下がり長さ5pほど
(下写真)。雌花は新枝の上部の葉の付け根につき短くて1〜3個の花がある。
 果実の長さは約2センチほど。コナラの堅果に比べて袴が深い。地上に落下した種子はその年の内に根を地中にのばして翌年春に地上部が発芽する。
 名前の由来は不明。別名オオナラ→コナラと対比した呼び名。



        実生

写真 2020.6.30下石黒

       ミズナラの幹

2009.4.30小岩峠

       幹の切り口

2009.5.28下石黒

    ミズナラの柄(短い)

2009.4.30小岩峠

     ミズナラの雄花


2009.4.30小岩峠

       
 雌花
写真2006.6.8下石黒

 果実-コナラより大きく袴が深い

写真-2016.10.15下石黒

 
      おとしぶみ
2006.6.12下石黒

        虫えい

2006.9.12下石黒

 ミズナラの紅葉(希に見られる)

2009.4.30下石黒

       葉の大きさ

2011.11.28下石黒

       冬  芽

2009.12.19下石黒