イタチ〔ホンドイタチ〕
暮らしとの関わり
 石黒では、イタチは池の鯉や時には鶏をねらう害獣とされていたばかりか、人を化かすなどとも言われた。
 小形であるが肉食であり、どう猛で池の鯉など己の体より大きなものを捕って食べる。村人の話では、前足で抱えて後ろ足を使って蹴るようにして獲物を弱らせるとのことである。
 一見愛らしい姿で、2本足で立って歩く姿も見受けられる。驚くと「キチョッ」というような声を立てて、草むらに飛び込んで逃げる。
 家の近くにも時々現れた。筆者は子どもの頃に、飼い猫に獲らせようと猫をイタチの近くに投げるようにして近づけてみたが、鼻をつき合わせてそのまま離れてしまったことを憶えている。今、調べてみるとイタチは、ネコ目、ネコ亜目であることが分かり、同亜目であるために余り敵対しないのかも、などと想っているが、状況次第であるのかもしれない。
 なお、本ページの写真のほとんどは、寄合の釜坂の上り口で撮った。我等2人が近くのオオカメノキを撮影していた時のこと、突如、被写体の木の近くにイタチが現れた。子どものイタチであったのか、斜面を上りすべ下りて遊ぶような仕草をして、しばらくその場を離れなかった。 
イタチの写真撮影を半ば諦めてかけていただけに、思いがけないチャンス到来に感謝した。
 ところで、筆者は石黒の生家跡の池で18年ほどコイと金魚を飼って楽しんでいたが、10年ほど前からアオサギの被害が発生し、毎年、春には被害防止の防鳥網を張った。だが、その後、イタチに目をつけられ、魚は全滅した。魚のみならず、それまで沢山いたトノサマガエルの姿も見えなくなってしまった。
 また、池の近くのカボチャ畑は、タヌキの被害で1個も収穫できず、庭のヤマユリイノシシに球根をすべて食べられてしまった。こうした獣や鳥による作物被害は年々、増加している。


写真撮影2011.5.8寄合 撮影 政栄 ・寿一郎

     庭の池の魚をねらうイタチ

 写真 2010.12.18 下石黒

        沢を渡るホンドイタチ

撮影2011.5.8寄合 撮影 政栄

解 説
イタチ科
 平地から山地の針葉樹林,広葉樹林,草地などに生息し、特に水辺に好んで棲息する。人家近くに住むこともある。
 体長は、オスは30〜37p、尾の長さ12〜16p。メスは体長20〜27p、尾の長さ8〜9pで著しく大きさが異なる。体色は夏毛が焦げ茶色、冬毛は黄褐色である。
 4〜6月にかけて2〜6頭の子を産む。活動するのは主に夜であるが日中も活動することがある。
 動作は機敏で速く走り、跳躍もする。泳ぎも得意で木登りもする。
 ホンドイタチは、1930年ごろに移入されたチョウセンイタチによって次第に減少しているといわれる。




 斜面を滑るように降りる様子

撮影2011.5.8寄合 寿一郎

 斜面を滑るように降りる様子
撮影2011.5.8寄合 寿一郎

こちら(撮影者)に気づいている様子
 撮影2011.5.8寄合 政栄