トノサマガエル
暮らしとの関わり
 子どもの頃から、最も慣れ親しんだカエルはトノサマカエルであろう。
 どこの家にもタネ〔池〕があり、そこには必ずトノサマガエルがすみついていた。なかには池の主とも言いたいほど大きなトノサマガエルもいた。そのトノサマガエルを狙ってシマヘビやアオダイショウがやってきた。

 〔※昭和27年、石黒の筆者の生家のタネ(池)で巨大なトノサマガエル(家族は「池の主」と呼んでいた)が小型のヘビを飲み込む様子を家族全員が見物したことがある。ヘビは25pほどのヘビ(ヒバカリ?)であった。トノサマガエルは、そのヘビを30分もかけて全部飲み込んだが間もなく吐き出した。このめったに出会えないであろう異様なドラマを、真夏の炎天下、家族七人で一部始終見物した。この不思議な光景は、70年余もたった今も兄弟で話題になるほどである。〕

 昨日〔2016.4.20〕石黒の生家の屋敷内の畑にカボチャの苗を植え付けに行った。畑をスコップで耕していると体長10p余りのトノサマガエル(下写真)を掘り起こしてしまった。怪我をさせていないか調べたが無事であり安心した。しばらく動かずにしいたが庭の池の方向に向かって移動していった。どうやら方向が分かるらしい。この日に掘り起こしたカエルは緑色の体長4pほどの個体と、3pほどの赤褐色のカエルの3匹であった。幸いいずれのカエルも無事であった。

〔写真2006.6.4.下石黒〕


 無理に冬眠中に掘り起こされたトノサマガエル

写真2016.4.20

解 説
アカガエル科
 日本の代表的なカエル。本州、四国、九州、大隈諸島に生息。
 体長は雄6.5〜7.5cm。雌7〜8.5cm。他のカエルと異なり雄雌で体色が異なる。雄の基本色は黄緑色〔右下写真〕雌は灰白色。
 水田、池、小川などの周辺にすむ。ジャンプ力に優れ人が近づくと池や藪に飛び込む。
 繁殖期は5月末から6月。大群が水田などに集まり夜空に響くほどの大合唱をおこなう。卵塊は、ほぼ球形で約1000〜4000個の卵を含む。餌は昆虫。〔鳴き声〕




写真2008.8.12下石黒


写真2006.6.17下石黒