マテバシイ
暮らしとの関わり
 市街地周辺では社寺や公園などで植えられたものに時々出会う。遠目にはサンゴジュに似ているが葉がやや小さくスマートで密生して付いている。
 上の写真は鵜川河口近くの公園で私が初めて出会ったマテバシイである。サンゴジュも近くに植えられていたが、冬の姿はマテバシイの方が美しい。
 また、樹下に落ちていた堅果が立派で驚いた。ミズナラのそれと形は似ているが一回り大きい。渋味がほとんどなくあく抜きせずにそのまま食べられるというのであるから大昔には貴重な食糧となったものであろう。暖地の沿岸では、防風林ともなり盛んに植えられたものであろうと想像する。
 横浜に住む筆者の6歳の孫が庭に植えた幼苗が、このマテバシイであった。横浜には特に多く見られる樹だという。
 今春から西港町の樹の開花と成熟を継続して観察してみたい。

写真2015.2.17西港町


      根元から数本立となる木も見られる

写真2015.5.23西港町

        若枝の溝と今年の秋に稔る幼果
写真2015.2.17西港町

            新葉が開く
写真2015.6.20西港町

              幼果の成長
写真2015.7.11西港町

               果実期

写真2015.9.5鵜川河口付近

             穀斗の表面
写真2015.2.17西港町

        落下した前年の果実

写真2015.7.11西港町


解 説
ブナ科
 千葉県以南の温暖な沿岸から九州、沖縄に自生する常緑高木日本固有種で各地の人家や社寺、公園などに植えられている。  
 大きなものは高さ15m、直径1mにもなる。樹皮は滑らかで灰暗褐色。雌雄同株
 葉は多く茂り、互生し柄があり倒卵形楕円形で滑らかで光沢がある。先は短く鈍く尖る。長さ5〜18p、幅は3〜8pほど。柄の長さ1〜2p。
 花期は5〜6月。葉のつけ根から上向きの穂状花をだし黄褐色の小花をひらく。
 雄花のガクは6裂し雄しべは6〜12個、雌花は雄花の穂の下部につくか、または雌花だけの穂につく。雌花は1〜3個つき総苞に包まれガク片が6個、花柱が3個ある。
 果実は堅果で翌年の10月に成熟し、砲弾形のドングリで長さ2〜2.5p。下に穀斗がありその表面の鱗片は瓦状にならんでいる。
 種子はタンニンがすくないためあく抜きしないで食用になるが味はよくない。学名の種小名 edulis は「食べられる」という意味。
 名前の由来は不明だが、葉がマテ貝に似ているシイに由来するとの説がある。



       幼苗
写真2015.7.12松美町

     冬芽と幼果

写真2015.2.17西港町

      開く葉芽(中央)
写真2015.5.23西港町

    穂状につく堅果
 写真2017.7.26三和町

        堅果
写真2015.2.17西港町

 若木の樹皮と堅果(やや長め)
写真2016.10.7西港町