アカシデ

暮らしとの関わり
 石黒では「ヒデノキ」と呼んだ。「シデ」が「ヒデ」に訛ったものであろう。
 アカシデの木の特徴は、幹が均一な成長をしないために凸凹になりねじれたような形になることだ。上の写真の樹は、石黒城趾近くの尾根道沿いにあるが、根元の周りは3メートル近い。→補助写真クリック
 石黒で、大きさ、枝振り、迫力、生育場所の景観から、この写真の木の右にでるアカシデには未だ出会わない。
 昔は、床柱などに利用する目的でアカシデを買い付けに山師が村にやって来たものだという。
 村人で植物に詳しい人の話では、アカシデの木の下にはブナなどに比べて豊富な野草が見られるという。そのわけは、ブナは恵みの雨を己の幹に集めて独り占めするのに対し、アカシデは横に広くはった枝葉で受け止めた雨を林床の草に分け与えるためだという。

撮影2005.6.23 石黒城山尾根


             樹皮と凸凹の形

写真2005.6.23下石黒 城山


            アカシデの芽吹き

写真2005.4.30下石黒

             アカシデ果穂

写真2011.7.3下石黒

        互生する葉〔※新芽は赤い〕
写真2011.7.4下石黒

         葉の鋸歯と種子

写真2011.10.27下石黒

              種子散布期

写真2011.11.2下石黒

解 説
カバノキ科
北海道から九州の山地に見られる落葉高木。雌雄同株
 高さ約15m。樹皮は平滑で古木になると幹が均等に生長しないため幹に凸凹を生じる(左上写真)。まるで彫刻作品のようにも見える幹もある。
 葉は小形で互生し卵形〜長楕円形で縁には不規則な鋸歯があり先端は尖る〔下写真〕。長さ4〜7p。葉柄は赤味を帯びる(下写真)
 花期は4〜5月。新葉より早く開花する。
 雄花は赤褐黄色で、小枝から垂れ下がり包の中に1個ある。雄しべは8個あり花糸は2つに分かれる。
 雌花には柄があり緑色で尾状に上向きにつき、小花は尖った包の中に2個つく。小包があって子房1個と2花柱がある。
 果穂は長い柄で垂れ下がり長さ3〜8p。葉状の包を、ややまばらにつける。包葉は三角形での長さは1〜2p。3裂して中央の裂片は皮針形で片方だけ鋸歯がある〔下写真〕
 堅果は広卵形で長さは3oほど。
 名前の由来は新芽〔左下写真〕ないしは紅葉が赤いことと穂状の実の形が玉串につけるシデ(四手)に似ることによる。




  葉の表裏と葉脈と赤い葉柄

写真2011.7.4下石黒

   葉の鋸歯と先端の尖り

写真2011.7.4下石黒

       雄花

写真2011.4.11下石黒

        雌花

写真2011.4.18下石黒

   果穂と堅果をつつむ包

写真2011.7.4下石黒