オオアカゲラ
暮らしとの関わり
 石黒では「ケラツツキ」と呼んだ。
 春から秋にかけて盛んに「ロロロロロロロ」〔音声クリック〕というドラムを叩くような音がするのは、この鳥が木の幹をつつく音である。一種の縄張りを知らせるための誇示行動でもあるといわれる。静かな山村に育った人間には忘れられない音である。
 羽の色は上の写真のとおり、派手であり、昔話(昔話参照)のお釈迦様の葬式に遅れたという鳥「はカケスではなく、このアカゲラのことことであろう。絹赤の赤襦袢を連想させる下腹部の羽色などいかにも着飾ったという感じである。
 野鳥の写真は中々撮れない。今年も、これという写真も撮れずに終わるのかと諦めかけていた。
 だが、昨日〔2011.11.10〕、冬囲いに石黒に行き夕方帰り支度をしていた時に山小屋の脇のコナラの大木の枝でコツコツと音がするので目をやるとアカゲラであった。30mほど離れていたが望遠レンズで何とか撮影できた。
 歳と共に冬囲い竿が重く感じられ、肩や腰に応え疲れ果ててしまったが、この思いもかけないチャンス到来に元気を取り戻した気がした。
 昨日(2015.2.16)に、この時期には稀な晴天に恵まれ、石黒に樹木の冬芽と葉痕の撮影に出かけた。山小屋の裏でコシアブラの馬蹄形の葉痕に見とれているとすく゛上のブナ林でアカゲラと思われるドラミングが始まった。
 急いで、ビデオカメラを取り出して姿を探したが見つけることはできなかった。その後、20分ほどして遠くの方で甲高いまるで金属管でもつつくようなドラミングが聴こえた。初めて聞く音のドラミングであった。中が空洞の木でのドラミングであったのであろうか。忘れがたい音であった。山小屋周囲の積雪積雪は340p。
 今日(2015.3.17)石黒の山小屋の様子を見に出かけた。
 数日前の思わぬ戻り寒波で石黒では1m余の降雪があったが、その後3日間晴天が続いた。
 この日の積雪は小屋の周囲では275pで、この時期の石黒では少し多い。
 野鳥の撮影も期待したが、晴天にもかかわらず鳥のすがたはほとんど目にしない。カラス1羽とブナ林の中をウグイスミソサザイのような小鳥がを一羽目にもとまらぬ速さで横切ったのみであった。。
 ほとんどの鳥たちは寒さと雪を逃れて市街地やもっと遠くまで行って未だ帰ってこないのであろう。
 撮影成果もなく県道に向かって下っていく途中で「キォッ、キォッ」というような鳥の鳴き声がしたのであたりをみると民家裏のケンポナシの木にアカゲラらしい鳥を見つけた。15mほど離れている。祈るような気持ちでカメラを向けると幹の裏側に回って現れない、現れたと思ったら上の方に移動するのでファインダーになかなか捕えられない、漸く何とか補足できた。オオアカゲラのメスであった。
 まさに、この出会いの機会を与えてくれた大いなるものに、手を合わせる気持ちであった。

ビデオ資料→トラミング


(写真2011.11.10  右上2005.3.8 下石黒 −オス)


               体の特徴−メス

写真2015.3.17下石黒

       ケンポナシにとまったオオアカゲラ

写真2015.3.17下石黒

ビデオ資料→ドラミング-2


解 説
キツツキ科  
 北海道から奄美大島までの全長25pほど、山地の広葉樹林と針葉樹林の混交林に生息する留鳥
 全長28p、翼開帳49p。体の様子はアカゲラによく似る。
上面はは黒い羽毛で覆われ白い斜め横模様がある。胸から腹にかけては黒い細い縦じまが入る(左下写真)。下腹部や尾羽基部の仮面は赤味がかる。
 虹彩は暗赤色(下写真)で、嘴はアカゲラに比べて長い(上左写真)。脚の色は黒褐色(左下写真)
オスは頭頂が輝くような赤色、メスは黒色。
 餌は昆虫類の幼虫が主であるが、秋にはヤマブドウクリの実なども食べる。



      ブナの木に

写真2005.3.8下石黒

     腹部のようす

写真2007.10.2下石黒 朝 サワグルミ大木

      暗赤色の虹彩

写真2015.3.17下石黒

       長い嘴

写真2015.3.17下石黒

       参考画像

写真2015.3.17下石黒