トウキ〔ニホントウキ〕
暮らしとの関わり
 石黒では「ゴウジ〔うじ〕ゴロシ」と呼んだ。
 葉を採ってきて乾かしたものを便所にぶら下げておく家もあった。葉茎に強烈な香気があるため消臭剤として使われたものであろう。
 トウキは急な斜面の岩の割れ目などによく見られた。
 上の写真は下石黒の滝の淵の岩上に生えていたものであるが、2004年の新潟県中越地震で、約5トンもあろあろうと想われる岩もろともに滝壺に崩落してしまった。
 ちなみに、この滝壺は子どもの頃の忘れがたい水遊び場であった。夏の昼寝時に村中の子どもたちが集まって楽しんだ。蝉しぐれをかき消すほどの滝の音と子どもたちの歓声が今でも聴こえてくるようだ。→昔の水遊び場
 晩夏から初秋に開花するトウキの花は美しい。→参考画像
 今日(2016.3.3)に古文書読解で頸城郡について調べていると郡内の主要産物として、古くからの青苧・麻布の他に名産として米山トウキが挙げられている(角川地名大辞典)。
※トウキの思い出

(上写真2004.8.23下石黒 右上下2005.7.8上石黒 )


            ツボミのころ

写真上下2011.10.4上石黒

               トウキ花

写真上下2005.7.8上石黒

              秋の草姿
写真上下2009.11.6大野
解 説
セリ科
 本州中部以北の山地の岩間に自生する多年草
 根茎は短く根は厚肥する。
 茎は淡紫色を帯び直立し枝分かれし高さ60〜90p。茎と葉には毛はない。
 葉は2回3裂複葉〔左上写真〕で小葉は卵状被針形で先は尖り、縁にも鋭い鋸歯がある。質は薄く表面は濃い緑色でつやがある。 根生葉は長い柄があり、茎葉は葉柄は短くなり基部は長いサヤとなる。
 花期は7〜9月。枝先に複散形花序となってセリのような5弁の白い花が傘状に集って咲く。5個の花弁は内側に曲がり雄しべは5個、子房は1個ある。
 果実は長楕円形、基部が分果の背面の隆起した筋はは脈状、側面の筋は狭いとなる。
 草全体に強い匂いがある。
 また、中国のトウキと異なるものであるので「ニホントウキ」と呼ぶのが正しいと牧野植物図鑑には記されている。



        幼苗
写真上下2010.4.10-24上石黒

       花期
写真2006.7.20上石黒