ケナシミヤマシシウド
暮らしとの関わり
 石黒では「サイキ」と呼んだ。石黒の野草では最も巨大で、3メートルを超えるものもある。
 基部の太さは径10pに近いものもあり、子どもが木登りならぬ草登りが出来るかと思われる大きなサイキもあった。いわゆる「ウドの大木(たいぼく)」の由来であろう。草全体にセロリに似た独特の香りがあった。
 昔は、初夏に山から取ってきて、押し切りで10pほどに切り刻み、藁で囲って発酵させて堆肥としたものだと伝えられる。化学肥料が「金肥」と呼ばれるほど貴重な時代で、牛馬を飼っていない家では特に多く作った。→四季の農作業
 子どもの頃、枝の付け根の鞘部分から芽が出ている様が珍しかった。また、花も花柄が四方に張り出した全体の形が美しい。→参考画像
 ミヤマシシウドとの区別は今のところ筆者には難しい。一般に、花冠の付け根や葉裏に毛がないことと、開花期が7月中旬頃(ミヤマシシウドは6月中旬から)等で区別できるとされていることから、石黒に見られる種を、この点から一応、区別して掲載した。
 しかし、これらの区別点から観察するに、調査をしたわけではないが、中間種ないしは変種の存在も考えられるように思われる。
 今後、自分なりに観察を続けるつもりであるが、ケナシミヤマシシウドの開花時は周囲の草薮が深く、なかなか山の斜面を広範囲にわたり調べることは後期高齢者には容易なことではない〔2013.1.27〕
 石黒集落近くでケナシミヤマシシウドが最も多く見受けられるのは国道353号線の上石黒集落からトンネル入口までである。→参考写真
 ところが、今日〔2014.7.22〕に石黒からの帰り道に観察するにトンネルまでは上記載写真のような群生が至る所に見られるのに、トンネルを抜けて鵜川地区側にでるとほとんど見られない。二本目の短いトンネルをくぐった左手に1本見えただけであった。限定された道路から見える範囲では何ともいえないが、出来ることなら詳しく調べてみたいものだ。
お詳しい方のご指導を仰ぎたい。

(写真上2004.9.25上石黒 右上下2005.10.28下石黒)


     ケナシミヤマシシウドの花

撮影2005.8.1下石黒

         夏のケナシミヤマシシウド

撮影2005.7.14落合

          花期のころ〔クズが絡む〕

撮影2014.7.12上石黒国道沿い
                群生

撮影2014.7.22上石黒国道沿い
        晩秋のケナシミヤマシシウド

撮影2008.11.13中後

           塊根化した根

撮影2009.10.14下石黒

             葉のつけ根

撮影2014.7.12下石黒

         大きな個体-2〔360p余〕
撮影2009.11.24上石黒高床

          葉の表裏の色

撮影2010.6.26上石黒

              葉裏の毛の比較
ケナシミヤマシシウド ミヤマシシウド
撮影2010.6.26上石黒 撮影2009.5.26上石黒

解 説
セリ科
 わが国の固有種で本州・九州・四国の山地の草むらに自生する大型多年草。ミヤマシシウドの一種である。
 根茎塊根化して太い〔左下写真〕
 茎は大きく直立し中空の円柱形、上部で分枝する。高さ1〜2mほど。
 葉は大形で3回羽状複葉で無毛〔下写真〕。小葉は卵形で鋸歯がある。葉柄の基部は鞘となって非常に大きくふくれ茎を抱く。上部のものは膜質で小枝の先では若い花序を包む〔上写真〕
 花期は8月〜11月。枝先に大きな複散形花序をつけ大花柄は四方に張り出して多数の白色の小花を開く。 花弁は5個で内側に曲がり(写真左下)、雄しべ5個、下位子房が1個ある。果実の時期になると傘形の穂は更に大きくなる。
 果実は広楕円形で紫色を帯び両端は凹み、分果は扁平で広いがあり、背面に三脈がある。〔下写真〕
 ※酷似するミヤマシシウドは葉の裏に細かい毛があり、花期が6〜8月であることで区別できる(左写真)
 名前の由来は、ウドに似ているが、強剛なのでイノシシが食うのに適したウドと見て名付けられたという。

柏崎市街地の周りにはよく似たオオハナウドの花が5〜6月初めに見られる。→写真



  ケナシミヤマシシウドの葉
撮影2009.5.26上石黒


   毛の見られない葉裏

撮影2009.5.26上石黒

        若芽

   撮影2006.5.6上石黒

        根茎

撮影2009.5.9寄合 

  大きな個体-2〔340p余〕写真2014.7.12下石黒 

     初冬の草姿

撮影2010.12.1大野

        分果

撮影2009.11.24上石黒