ツチガエル
暮らしとの関わり
 子どもの頃に、石黒で最も多く見られるのはツチガエルであった。
 現在では減少しているが、やはり個体数では石黒で最も多いカエルではないかと思われる。
 子どもの頃には「クソゲエロ」と呼んだ。体色から姿が糞に似ていることと、捕まえると異臭を発散したため軽蔑してそう呼んだのであろう。この異臭のためか池端に寄ってくるシマヘビアオダイショウもツチガエルは敬遠しトノサマガエルを主に狙っていたようだ。
 筆者の生家のタネ(家に隣接した小さな池)には、トノサマガエルもいたがツチガエルが多かった。
 春の頃には夕方になると一斉に鳴き始めた。家の裏にある池(タネ)に面している寝室(ヘヤ)で祖母たちと寝ていた自分には、うるさいほどの鳴き声であった。
 昔の茅葺屋では、寝間には掃き出し窓はないのが普通であったが、なぜか筆者の家の寝間には、外に格子枠の取りつけた3尺間の障子戸の掃き出し窓があった。そのために特に外の音声が侵入したのであろう。(昼寝時、池のまわりで遊んでいるとうるさいと叱れた)
 とにかく、夜にカエルの鳴き声を聞きながら睡魔に引き込まれ眠りに落ちる瞬間を70年余経った今もまざまざと思いだすことが出来る。〔鳴き声〕

解 説
アカガエル科
 本州から屋久島まで分布。30年ほど前から北海道にも外来種として侵入し現在では定着している。
 池、水田、小川などに棲むが色が地味なため目立たない。
 体長は3.5〜4.5cm。雌は6cmほど。体の背の部分にいぼ状隆起があって別名イボガエル。腹面は灰黄色で、小暗色斑が散在する。
 
繁殖期は、5〜8月で一度に1000個ほどの卵を水草に産みつける。皮膚には独特のにおいがある。
 鳴き声は小さく低いうなり声に似ている。〔鳴き声〕

 ※(ふつうのカエルは、秋までにオタマジャクシがカエルの姿になるが、ツチガエルは一部が幼生のまま越冬するという。しかし、石黒のような多雪地ではどうであろうか、できれば調べて見たいものだ)。