コイの産卵

 コイの産卵を見たのは2回目である。1回目は、数年前の鵜川水系の農業用水路であった。幅、深さとも1.0mくらのU字管を使用しての農業用水路であった。その用水路に溜まった積年の砂泥で成長したアシなどの抽水植物群の中であった。田植え期で、多い水量によりそれらの抽水植物が水に没し、倒伏し層状に積み重なっている場所だった。そこに10匹を超える大きなコイが2匹から数匹が固まり、重なり産卵していた。鵜川本川から1km足らずのところであった。その場所も最近改修され、抽水植物がなくなり、人の見た目にはきれいになっていた。

 今回は鯖石川水系で、2019年5月4日のことであった。やはり今回も、コンクリート製の幅約3mの農業用水路であった。そこも川幅の半分くらいに砂泥が溜まり、抽水植物が約30m水中に没していた。長さ数10cmの丸太のようなコイたちが20匹くらい、1回目と同じように2匹から数匹が固まり、重なり産卵していた。鯖石川水系には間違いないが、本川とはかなり距離がある。どうやって来たのか不思議である。人工的な施設に、偶然できた場所である。

どこから、どうやってやって来たのか不思議に思う。本川と農業用水路の接続部には水門がある。詳しい構造は分からないが、そこを乗り越えてきたとしかいえない。また、20匹も同じ場所に集まることも不思議である。各々が偶然に集まったものか、それとも何かこの場所というサインがどこかにあるのか、このことも不思議である。

水温20°Cで産卵するという。5月の初旬がちょうどそんな気候なのだろう。

  かしわざき野鳥の会 長谷川和正