キチョウ
暮らしとの関わり
 キチョウは、石黒でも、春から晩秋までよく目にする蝶であるが、まじまじと観たことのない人が多いのではないだろうか。
 モンシロチョウはキャベツに産卵し嫌われるだけに姿はよく知られているが、キチョウは野菜に産卵することはないため「黄色い蝶はよく見かけるが、どんな姿かよくは知らない」と言う人が多い。
 とくに、この種の蝶は草花にとまるとハネを閉じたままで開帳の状態がなかなか見られない。上の写真は(2005.8.20)漸くにして撮った貴重な一枚である。産卵はハギにするが蛹はハギの果実によく似ている。→参考画像
 また、山道の獣糞に集まっているキチョウをよく見かける。→参考画像
 雌は蛹のうちから一回り大きい。観察していると雌の蛹に雄のチョウが盛んに寄ってくるように見えるが、そのような習性をもつものかどうかは分からない。
 羽化の様子を観察すると蛹が割れると、するりと殻の外に出てしまう。ハネが完全に開くまでに若干の時間はかかるが変化の速度は速いもだ。→キチョウの羽化の様子
 成虫で越冬すると言われるが筆者は未だ確認していない。
 2008年11月29日に山小屋の落とし板の間に溜まった落ち葉にとまり、じっとしているキチョウを初めて見かけた。そっと触ってみたがほとんど動かなかった。しかし、その後〔2007.11.25-天候晴れ〕、初雪の残雪の上にとまっているキチョウを見かけた。不思議とこちらはそっと触るとハネを広げて飛びたった。

 2010.10.1に柏崎市平井地内の放棄田の上を数十頭のキチョウ(捕獲して確認していないが近づいて見た限りキチョウ)が乱舞する姿を見た→参考動画資料

 ようやく、一昨日(2014.11.9)カラムシ街道市が終り、石黒の山小屋の冬囲いに取り掛かった。例年、山小屋が会場の一つとして使われるので、前日まで5日ほどかけて屋内外の清掃作業をする。屋内はともかく、屋外の掃除は数日前にやっても少し風が吹けば元の木阿弥であり、300坪ほどの庭掃除を今年は3回やったことになる。最初の掃除は、の葉が多く大変手間がかかった。一辺2mのシートを敷いて置いて、そこにコマザライでかき寄せてシートの端をもって包むようにして持って庭先の崖に捨てるという作業であるが、30回ほどかかるので老人には馬鹿にできない労働である。
 まあ、村の在住者のみなさんもそれぞれ苦労されているので不平は言えないが、まことに雪降り前の庭掃除とは空しいものである。
だが、これが、お客を迎える一期一会の心構えと思えば我が人間修行の足りなが露見したという事に過ぎない。

 肝心のキチョウの記述は附けたりとなってしまったが、冬囲いのおりに地面を覆うオンコの下枝を引き上げたら中のブナの枯葉から2頭のキチョウが同時に飛び立った。野外でこのような場所でも越冬するのかと確認できた。昼近くから気温が上がると庭に5頭ほどのキチョウが飛び回っていた。


(蛹にとまったキチョウ2007.9.23下石黒)

(交尾するキチョウ2007.9.23下石黒)

        フユザクラの蜜を吸うキチョウ

 写真 2011.11.11 大野

参考資料 キチョウ→クリック

解 説
シロチョウ科
 本州以南に生息(北海道では記録にあるが希)。
 モンシロチョウより少し小型で羽は黄色、前ばねの一部に黒い部分があり夏型が黒部が大きい。
 開帳4~4.5㎝。
 成虫で越冬。年2~4回発生。幼虫の餌はハギやネムなどマメ科植物。
 名前の由来は黄色いチョウの意味。



 水たまりに集まったチョウ
2007.10.4寄合

   越冬中のキチョウ

2006.11.28下石黒

  キチョウの越冬場所一例

2014.11.12下石黒

 初雪の残雪の上のキチョウ

2007.11.25下石黒



 イスラエル人と「さくらさくら」

 2018年11月11日に、ふるさと石黒の恒例行事「カラムシ街道市₋古民家巡り」が行われた。大野集落の古民家を訪れると近くの家(屋号₋西隣)にフユザクラがの大木があり、まばらであるが花が見られた。私が花の接写をしていると
13名ほどで訪れておられたイスラエル人の一人の方が興味深そうに花を見ておられた。私が「さくら」と言うと納得した様子で、とつぜん「さくら、さくら、やよいの・・・・」と歌い始められた。私も一緒に歌うと、急に心が通い合ったように思われた。
 また、1頭のキチョウが花の蜜を吸っていた。調子に乗って私は」「イエロウ-バタフライ」などと言わんとしたがやめた。お互いに興味深くしばらく観察を続けた。それで、いっそう心が通じ合ったように思った。

  (編集会 大橋寿一郎)