ヒメウラナミジャノメ
暮らしとの関わり
 子どもの頃から、家の周りや雑木林の縁などの日陰でよく見かけた。ぴょんぴょんと跳ねるような独特の飛び方をする。 草の葉にとまったかと思うと地上の落ち葉にとまったりとあちこち移動している。
ヒメウラナミジャノメは、今でも、最もよく目にするジャノメチョウであろう。
 子どもの頃に、夏の暑さを避けて、裏庭の日陰で遊んでいると、よくジャノメチョウがやって来た。そして近くに長く留まっていた。まるで、自分等(子ども)の仲間に加わっているかのようにも思えたものだ。
 しかし、花に止まって蜜を吸う姿の記憶はない。ともすると子どもの頃は、蛾の仲間として見ていたのかもしれない。今では、ヒメジョンカタバミなどの花で蜜を吸っている姿を見る。
 ちなみに、翅の蛇模様は縁が金色で中が黒色、そして黒色の中に小さな白い斑紋がある。肖像画の黒目に白い斑点を入れると俄然、眼光が現れ生き生きとするものだが、ヒメウラナミジャノメの蛇の目紋様も捕食者の鳥などに対してこの小さな白色の斑紋が威力を発揮するのではなかろうか。
(下写真参照)
 柏崎刈羽では5月半ばから10月半ばまで見られるチョウである。

写真上2005.8.26.板畑


   はね裏側の細かい波形模様(黒い紋様の中の白斑)

写真2011.6.17下石黒

        吸蜜するヒメウラナミジャノメ

※脚は4本しか見られない。一対が退化しているのだそうだ。
写真2011.6.17下石黒


解 説
 対馬を除く日本全土に分布。雑木林の周りや草原にすむ。山のふもとからかなり高いところにまで見られる。
 体の特徴はジャノメチョウの中では最も小さい。前翅の長さが約19mm、色は濃い褐色。裏側には細かい波型模様がある(左下写真)。後翅の眼状紋には個体差があり、特に雌に著しい。
 発生は第1化は5〜6月、第2化が7〜8月、第3化が10月頃とされるが第3化は個体数は少ない。季節型によって翅の紋様の変化はない。
 幼虫の食草はススキチヂミザサなどのイネ科、カヤツリグサ科の植物。
 成虫は年3回発生。幼虫で越冬。
 名前の由来は小さく愛らしく羽裏に波模様のあるジャノメチョウという意味(上写真)



 ミツバアケビの葉にとまる個体

写真2006.5.19 上石黒

   家に迷い込んだ個体

 写真2007.8.18下石黒