コサナエ
暮らしとの関わり
 初夏の最も早い時期に現れるトンボである。
 石黒では、ようやく田仕事が始まった頃に見られるトンボで「おや、もうトンボが・・・」と季節の移ろいの早さを感じさせる存在であった。
 しかし、筆者にとっては稀にしか出会わないトンボの一種だ。それも棚田の溜め池などの周囲で見られ、多くは羽化して間もない個体ばかりであったように思われた。稀にしか出会わないのは成虫の主なすみかが林の中であるせいかもしれない。
 コサナエは、体の模様がオニヤンマに似ているためかシオカラトンボなどにくらべて小型ながら精悍な印象を受ける。
 ちなみに、トンボも遊び仲間であった子ども時代(1945年頃)の舞台にはコサナエは登場しない、正確に言えば記憶にない。
 上の写真は、下石黒のホウノキ山で撮った。未だ、谷間に残雪の見られる頃の出会いには、いつものことながら驚かされる。
 来春(2021)もホウノキ山でコサナイとの出会いたい。(田畑が放棄され原野と化し、農道も荒れ果て春のころでないと訪れる事は出来ない)。

(写真2005.5.26下石黒 ホウノキ山)


      林の縁の木の葉にとまるコサナエ

 写真 2007.5.18 下石黒 ホウノキ山


解 説
サナエトンボ科
 本州東北部より北海道に分布する小型のサナエトンボ。
 5月中旬から7月上旬まで見られる。草や木の葉の上に静止していることが多い。近づくと飛び立つがすぐにまたとまるので観察しやすい。
 ヒメクロサナエなどとの区別は胸の前の方にある黒い黄色のL字形の模様である。
 名前の由来は苗取りの頃から見られることによる。



  区別ポイントの一つL字紋様
 写真2005.5.26 下石黒 ホウノキ山