ヒトリガ
暮らしとの関わり
 石黒では、秋によく灯火に飛来する蛾の一つで子どもの頃から見覚えのある蛾の一つである。
 先年(2007)の夏〜秋に集中して観察した時には街灯の下の草に朝方普通にみられた。
 捕まえると突然、前ばねに隠されていた鮮やかな橙色の後ろ翅が現れるとちょっと驚いてしまう。鳥などの外敵も一瞬たじろぐのではなかろうか。
 そのうえ、成虫は苦い体液をもつため食虫性の鳥獣は敬遠するといわれている。
 また、この種の蛾の中には食虫性のコウモリの出す超音波を妨害するための超音波を発して攻撃を逃れるものもあるといわれる。こんな能力をじっくり研究できたらどんなに面白いことであろう。
 人間にとって、昆虫の世界も神秘に満ち満ち、後、百年生きて調べても興味は尽きないものにも想える。
 だが、82才の自分に残された月日は、このHPの校正にも足りないほどで淋しい限りである。(2020.5.25)

(写真2007.9.14 寄合)


        朝露に濡れた早朝の姿

  写真2007.8.12 寄合

         裏から見た様子-2死骸

  写真2007.9.30 寄合
          フキの葉を食べている幼虫

 写真 2020.5.23 上石黒 高床


 
解 説
ヒトリガ科
 北海道と本州の山地に普通に見られる。
 開帳6p内外。後ばねと腹は橙色で黒色の模様がある。
 体の色、模様では雄雌による違いはないが雄の触覚は櫛の歯のようであり雌は鋸歯のようである。口先は退化している。
 幼虫は多食性でクワニワトコ、その他オドリコソウガマズミなどの雑草を食草とする。



    裏から見た様子-1
写真2007.8.7 寄合

   勇ましい触覚の頭部

     触覚拡大

写真2007.9.14 寄合