ツルハシ
 
 ツルハシは、昔の石黒では大抵の家に一丁はあった。
 筆者が中学生の頃には、石黒校のグラウンド拡張工事が村人の奉仕作業で行われた。中学生もツルハシをもって現在のブナ林側の山をくずしてネコ車で運んだことを憶えている。
 石黒は鵜川地区に多い赤土は稀で、殆どは泥岩層で、ツルハシがないと掘ったり崩したりすることのできない地質である。石黒で多く見られる泥岩は茶褐色で太陽にあたると短時間で風化して細かく砕けるが地中にあるうちは鍬やスコップでは歯がたたなかった。ちなみに、地力は赤土に比べて勝り昔から鵜川側に比べて石黒側の地味は良いといわれた。
 今日では、重機を使って容易に道路開削なども行われるが、昔はこのツルハシを振り上げて堀砕いたものをモッコで運ぶという重労働であった。
 また、ツルハシは、敷石などを動かす時に刃の先端を石の下に打ち入れて柄を立てて手前に引くとテコの原理で簡単に持ち上げられる等、様々な用途があり、現在も使われている用具の一つである。