ト ウ  ミ 〔唐箕〕         
 トウミは、脱穀した後の籾や大豆に混じったワラくずや豆殻やゴミを除くために使われた。その他、玄米の中のくず米の選別にも使われた。(四季の農作業)
 トウミの仕組みは手回しハンドルで4枚羽の車を回転させて風を送る。上部の投入口から入った籾や大豆は落下時に風力によって1番口、2番口、3番口に分かれて出てくる。2番口にはくず粒、3番口(先端)からはゴミが出る。投入する口の大きさを加減する場所があり、そこを左手で操作して右手で送風のハンドルを廻しながら作業を行なった。
 トウミが普及する前は、専ら箕(み)であおって選別していた。(昔の人は実に巧みに箕を使って選別する技術を身につけていた)が、トウミの出現は驚異的な選別精度と高い効率で人々を驚かせたに違いない。
 トウミはその名「唐箕」の通り中国で作られ江戸時代の中期に日本へ伝えられたという。石黒では昭和30年(1955)代までは使用されていた。
 WEB上の情報によれば、現在(2019)でも農機具メーカーから昔の木製のものと基本的に同じ構造のトウミが数万円程度市販されているようだ。
 トウミは子どもたちにとっても興味深い農具であり、よくいたずらをして叱られた。筆者が子どもの頃(昭和10〜20年代半ば)には農具の中で最も大形な機具であった。置き場所に困り、天井からつるして置く家もあった。
 余談になるが、生まれてからバス〔乗合自動車〕など見たことがなかった自分は祖母に、バスの大きさを尋ねる時に「トウミよりも大きいか?」と尋ねたことを憶えている。

参照→四季の農作業



           投入口



           使用中の様子

  撮影   下石黒