ハコモッコ 
 昔はどこの家にもある農具の一つであった。
 ハコモッコは雪上を田に主に新土を引き込む運搬具として使われた。
 上の写真の右方に溝があるが(上写真
)、そこに板を差し込んで使った。また、滑りがよいように裏のソリの部分にトタン板を張ったものもあった。(写真右上)
 ハコモッコを使った作業は早春の朝早くが能率が上がる。雪が柔らかくなるとハコモッコの走りが悪くなるからだ。筆者は中学生の頃、面白半分に積極的に手伝ったが朝早くハコモッコを背負って雪の斜面を作場まで足元に注意して行くのも大変だった。
 やぶ〔雪面〕が堅く氷る日は大抵晴天であり、昼が近づくにつれて雪面が柔らかくなり作業はつらいものとなる。そのため、ハコモッコによる作業は午前中に限られた。
 また、土を積んだハコモッコは傾斜の多い棚田では上り坂は言うまでもなく、下り坂を引き下ろす時も雪面が堅い時は走りを抑えなければならず決して楽な仕事ではなかった。
 作業は残雪が1,5mの頃であり土の採取場所は棚田の近くの斜面に求められたが、なかなか適当な場所はなかった。結局、50mほど離れた場所から運ぶことが多かった。
 ハコモッコという名前は、縄でつくられたモッコに対して箱製のモッコという意味である。


参考資料→四季の農作業


参考資料→べと敷き


  すべりをよくする工夫