稲こきの手伝い
                    田辺愛子
 私たちが子どもの頃は、稲こき〔脱穀〕は足ふみ脱穀機を使っていました。それも、ほとんど夜の作業でした。
 小学生の私は、足踏み脱穀機で稲をこく父の手伝いをしたものでした。父の横に立って一緒に踏み板に足をかけてふむのです。最初のうちは面白半分でしたが、だんだん疲れてくると、ただ足を乗せいてるだけというような時もありました。
 時々、父が疲れた足を変えようと足を踏み板からはずすと、体の小さな私は踏み板に体を持ち上げられるようなこともありました。作業は夜遅くまで続きました。「ウォーン、ウォーン、ザァーザァー」というあの音が今でも忘れられません。
 そのほか、脱穀する稲束を一把一把締めなおす仕事も手伝いました。稲束をよく締めておかないと脱穀機が稲を茎ごと引き抜いてしまうからでした。これも脱穀する父の仕事のスピードに遅れないようにするため忙しない仕事でした。
 また、脱穀したあとのワラを束ねて屋根裏に上げる手伝いもしました。これは家族総出で、手渡して運ぶのですが、つらいというよりも楽しかったという記憶があります。

(石黒在住)