新潟地震後の苗補植の思い出
                          大 橋 洋 子
 田植えが先ずひと段落すると、苗が根付かなかったり植え残しのところを、最初に植えた所から補植をしながら田廻りをしました。こうした時に使う補植用に必ず田んぼの隅には2〜5把位、縛り紐を解いた状態でまとめ植えをしておきました。
 田植え後の捕植で忘れられない記憶があります。それは、1964(昭和39年)6月16日、午後1時過ぎのことでした。
 ちょうど昼寝時で、いきなり家がぎしぎし揺れるので外に飛び出すと電線が大きくゆれていました。近所の人も外に居て「でっけぃ地震だっけねぇ」と言いながら、再び昼寝の続きをしましたが余震もあって眠れませんでした。
新潟地震後の苗補植

 田植えも今日明日で終わろうかという頃で大方の家ではすでに終わっていました。午後の身支度をして田んぼに行ってびっくり、大変驚きました。
 せっかく植えた苗がほとんど抜けて、田の畦の縁に真っ青というより遠目には真っ黒に寄り集まっていたのです。幸い苗代には苗が残っていたので新たに苗取りをして、親戚の好意を受けて手伝ってもらいながら補植をして漸くこの年の田植えが終わりました。
 ちなみにこの年の「新潟地震」は新潟,秋田、山形が中心被害地で新潟市内はビルが倒れたり傾いたりで、大きく市内を変えた地震でした。