鐘の鳴る丘    

1 緑の丘の赤い屋根
  とんがり帽子の時計台
  鐘が鳴ります キンコンカン
  メーメー小山羊(こやぎ)も啼(な)いてます
  風がそよそよ丘の上
  黄色いお窓はおいらの家よ

2 緑の丘の麦畑
  おいらが一人でいる時に
  鐘が鳴ります キンコンカン
  鳴る鳴る鐘は父母(ちちはは)の
  元気でいろよという声よ
  口笛吹いておいらは元気

3 とんがり帽子の時計台
  夜になったら星が出る
  鐘が鳴ります キンコンカン
  おいらはかえる屋根の下
  父さん母さんいないけど
  丘のあの窓おいらの家よ

4 おやすみなさい 空の星
  おやすみなさい 仲間たち
  鐘が鳴ります キンコンカン
  昨日にまさる今日よりも
  あしたはもっとしあわせに
  みんな仲よくおやすみなさい

 
作詞 菊田一夫   作曲 古関裕而   歌 川田正子



 このドラマがラジオで放送されたのは昭和22年から昭和25年で筆者が小学校3〜6年生の頃であった。
 夕方、この放送時刻になる外での遊びを中断して村のラジオのある家に集まって熱心に聞いたことを憶えている。
 しかし、ドラマの内容はほとんど記憶になく、登場人物のクロとミドリという名前をようやく思い出すことができるのみである。 しかし、ドラマの初めと終わりに流れたテーマ音楽「鐘の鳴る丘」だけは、鮮明によみがえる。行進曲風の軽快なリズムのこの曲は、今でも少年時代のことを思い出す度に自然とよみがえる。 
 まさに、我々の少年時代そのもののテーマ曲だとも言えよう。「昨日にまさる今日よりも、明日はもっと幸せに」の歌詞のとおり敗戦のどん底から新しい時代の希望の光がうっすらと見えはじめた時代であった。

 時は流れて当時の小学生は70代半ばに達している。あと20年も経つと我々のような感覚でこの曲を聞く人は絶えてしまう。
 すべてこの世の事象は、人も含めてこのように次々と歴史の引き出しに収納されていく運命にあるのであろう。
  
〔編集会-2012/2/18 文責大橋寿一郎〕