ヤマブキ
暮らしとの関わり
 子どもの頃から石黒で見たヤマブキはすべて八重ヤマブキであった。
 一重のヤマブキを見たのは40年ほど前、福島県の飯坂温泉の近くの山であった。幼苗を1本持ち帰って石黒の生家の庭に植えたところ、4〜5年後には驚くほど繁茂した。観察すると地面に地下茎を伸ばしてあちこちから芽をだすことが分かった。
今(2015)では、あまりにも旺盛な繁殖力が他の植木を脅かしつつある。
 ところで、ヤマブキの一重の花は、平開した形が良く、その輝くような黄色も遠くから目を引くほどの魅力があるが、開花日数が短いのが玉にきずである。それに比べ、八重咲のヤマブキの花は長持ちするようである。
 このことから、石黒の多くの家の屋敷に植えられたヤマブキがすべて八重咲であったことも納得がいく。石黒ばかりではなく古来、八重咲の方が好まれて植栽されたものであろう。太田道灌の詠んだ歌のヤマブキも八重咲ヤマブキである。思えば、雌しべも雄しべを持たない八重咲のヤマブキに果実はつくはずもない。
 ところで、ふと気づいたが石黒の生家跡に植えた一重のヤマブキの果実を一度も見た記憶はない。数年おきに実をつけるといわれているので来年(2017)から留意して観察したい。
 ちなみに、ヤマブキの近くに植えてある別属のシロヤマブキの果実は毎年目にする。シロヤマブキの果実は黒く艶やかでよく目立つ。

写真2009.4.24下石黒(記録的な小雪の年)


          庭に植えたヤマブキ

写真2015.5.4下石黒 生家跡

              茎の伸び方

写真2009.4.24下石黒

              つぼみの頃

写真2014.6.10下石黒

           八重咲きヤマブキ

写真2010.6.21寄合


解 説
バラ科
 北海道から九州まで分布する落葉低木。よく庭に植えられる。
 高さ2mほどで茎は緑色で細く柔らかい。先端が垂れ下がる。
 葉は互生し縁には切れ込み状の重鋸歯があり先端は長く尖る(下写真)。長さは6〜7p。質は薄く支脈は表面では凹み(下写真)裏面に隆起する。また、脈上には細い毛がある。 葉柄は5〜10mm、基部には細長い薄い托葉があるが早くに落ちる。
 花期は4〜5月。側枝の先端に一つずつ花をつける。ガクは深く5裂し(下写真)ガク筒は短く広い。花弁も5個で平開し黄色、基部は花爪となる。
 雄しべは多数、雌しべは5〜8個ある。花の径は4pほどで開花期間は短く早く散る。
 八重咲種は雄しべは花弁に変化し雌しべは退化してしまっている。
 果実は痩果で熟して乾くと暗褐色になる。5個の種子を含むが成熟するのは4〜1個。形はやや押しつぶされた様で背面にがある。(八重咲ヤマブキには果実が出来ない)。
 名前の由来は「山吹き」の意味で枝が細く風に揺れやすい事による。



  葉の切れ込み状の重鋸歯

写真2014.4.27下石黒

    若葉基部の托葉
写真2014.4.27下石黒

       つぼみ

     5裂するガク

写真2014.6.10下石黒

      緑色の枝
写真2014.6.10下石黒