ツノハシバミ
暮らしとの関わり
 石黒では「カシノキ」、「クァシマメの木」と呼んだ。果実が菓子のように美味しいということから付いた名前であろうか。
 子どもの頃(太平洋戦争直後)は、山に出かけハシバミの木を探してよく採って食べた。まだ若い果実をとり皮をむいて食べると美味しかった。
 今も昔もそれほどありふれた木ではなかったので、あらかじめ木の在りかを記憶しておき食べ頃になると訪れ採って取って食べたことを憶えている。
 ただ、果皮についた硬い毛が首などの柔らかな皮膚につくとチクチクしたことを覚えている。

(上写真2005.7.19大野 右上2005.4.25板畑 右下2005.10.1大野)


         冬期にすでに大きくふくらむ芽

撮影日2005.2.16下石黒

       ツノハシバミの雄花と雌花

撮影日2005.4.24下石黒

            互生する葉

写真2010.6.29下石黒

            新枝の毛

写真2010.6.29下石黒

         ツノハシバミの果実

写真2005.7.19大野

   堅果を包む総包と剛毛


写真2005.7.19大野

       角のないハシバミか

写真2005.8.25下石黒

             種子のつくり
写真2011.8.25下石黒

解 説
カバノキ科
 北海道から九州の山地に自生する落葉低木
 高さ3〜5m、径は大きいもので12pほどにもなり新枝には毛がある
(左下写真)
 葉は互生
(左下写真)広卵形で縁には不規則な刻みがある(下写真)。長さ5〜10p。 
 若葉は中央に褐色の模様が入ることが多い。
〔下写真〕葉の上面は脈間に下面は脈上に葉柄同様に毛がある(左下写真)
 雌雄同株で新芽に先立って開花する。雄花は長い尾状で垂れ下がり多数の細花が密着している
(左下写真)
 雄花は包鱗の中に1個あり雄しべは8個ある。
 雌花は新枝の先に数個つき小さく卵形、柄はなく芽鱗片に囲まれた紅色の花柱が束生して柱頭のみが外にでている。
〔下写真〕雌花は包内に2個あり子房は1個、花柱は2個ある。
 果実は、総包堅果を包んでいる。総包は柄はなく小枝の先に1〜5個かたまってつき先端は多少弓形に曲がり先は分裂している
〔左上写真〕。外面には剛毛が密生する。
 堅果は直径1.5pほどの卵形で先がとがる
〔上写真。食用となる。
 名前の由来は、果実を包む皮が角のように見えることによる。




      雌花拡大

        雄花拡大

写真2005.4.24下石黒

     果実形成期


写真2010.6.29下石黒

     幼木の葉の斑文

撮影日2005.7.18下石黒
※葉の中央に褐色の斑紋がある。


  葉の縁の不規則な鋸歯

撮影日2005.7.18下石黒


    たわわについた実

写真2005.7.19大野