エビヅル
暮らしとの関わり
 石黒では「エブ」と呼んだ。1940年代まで、エビズルは、ヤマブドウやギョウジャノミズに比べ多く自生していた。
 子どもの頃は、よくこれらの果実を採って食べたが、ギョウジャノミズなどに比べ甘みが少なく味が劣った。
 今日では、これらの植物に出会うことは極めて難しいほどに激減している。その原因を村人たちは、山の林が荒れたためと言うが、まさにその通りであろう。
 2005年に居谷・小貫間でかなり大きな群生に出会った。すでに使わなくなったハサにはい上り繁茂していた。この集落に一軒しかない家のご夫婦に聞いたところ、珍しいので育てているのだということであった。ちなみに、このご夫婦は関東から越してきて古民家を買って夏冬通して住んでおられるとのこと。それを聞いて驚いた筆者が「冬はさぞ大変でしょうね。と尋ねると「国道ですから除雪してくれるので冬も快適です」との答えであった。それから、家の近くの見晴らしの良い畑に案内していただいて、いろいろ新潟では見かけない珍しい野菜など紹介してもらった。(下写真)
 その折、村はずれの田に元住民で通い農業をされている方にも出会い、尋ねるとやはり、当地でもエビヅルは昔の比べ激減しているとのことであった。
 ちなみに、帰りに、集落跡中央で道路沿いに建っている閉村の碑に出会った。それにしても、石黒地区周辺でこれまで何基の閉村の碑を見たことであろうか。→参考写真

 エビヅルはその後、板畑の嶽で2カ所で確認したのみである。
 しかし、2012年から柏崎市の海浜植物の撮影に出かけているが、所々でエビヅルに出会ったことは意外であった。とくに、その年の秋、椎谷海岸で、たわわについた完熟のエビヅルに出会い、65年前のガキの作法度通り、房ごとほおばって汁を吸って種子と皮を吐きだした。ほのかな磯の香りと塩味が石黒のエビヅルにはない味わいであった。
 また、子供の頃、この茎の中の虫〔エビヅル虫〕を魚釣りのエサとしたがヤナギ虫と同様、極上のエサであった。

〔写真上・右上2005.8.30居谷・右下2005.10.12居谷〕


             葉の裏表

              (2008.9.22板畑嶽)

        エビズルの群生

2005.8.30居谷・小貫の間

            雌花花序

写真2009.8.26上石黒

        熟し始める果実

写真2015.9.30松波町(野生の個体)

          海辺のエビヅル

写真2012.10.8米山海岸

               紅葉-1

写真2012.10.120 田塚

解 説
ブドウ科
 本州、四国、九州の山野に生える落葉蔓性植物。雌雄異株。
 巻きひげは葉と対生し二節続いて出て一節休む。 葉は柄があり互生しハート型で先は3〜5個に裂け縁には鋸歯がある(左下写真)。葉の裂け目は個体により深浅がある。葉の長さ8〜16p、幅は5〜10p。
 花期は6〜8月。穂状に咲き、黄緑色で巻きひげを持つ。
 果実は直径6oほどで黒く熟し食べられる(上写真)
 名前の由来は若葉や茎に密生する薄茶色の毛をエビの色に見立てたもの、などいくつかの説がある。



  葉と対生する巻きひげ     2008.9.22板畑嶽

     葉のつきかた

 2007.7.15板畑

     深く裂けた葉

写真2006.9.15上石黒

  葉と果実の大きさ比較

写真2007.10.15上石黒

     紅葉する葉-2
写真2015.9.30松波町

    果実の大きさ
写真2015.9.30松波町