モズ
暮らしとの関わり
 石黒では、普通に見られる鳥である。「キィー、キィー、キィー」という甲高い鳴き声は子どもの頃から聞き覚えがあるが、その姿を確認したのは大人になってからであった。
 しかし、モズは肉食であり、多雪地帯の石黒では冬季は餌の捕獲が難しいので暖地へ移動すると想われる。
 子どもの頃にモズという名前から連想したのは、もう少し大型の野鳥であった。
 そのため、「石黒の動植物」の撮影でモズの写真を判定するに手間取った。スズメよりも少しだけ大型のこの鳥がモズであるとはとても思えなかったからである。
 WEV上の資料によると自分の2倍もあるツグミを襲うこともあるそうであるから、やはり「小型の猛禽類」と言ってもよいのでなかろうか。
 また、秋の頃に、梅の木などのトゲにカエルなどを刺しておく習性〔モズのハヤニエ〕があるが、干物にして冬季のために保存する、フォーク代わりにトゲを使うなどの諸説があるという。
 かつて松美町の自宅の玄関先に梅の木があったが、秋になると枝にあるトゲにカエルが串刺しにされている様をよく目にした。いかにも、残酷な印象をうけるが、モズのことをイギリスで「屠殺人の鳥」と厳しい呼称があるとの文献を読んだ記憶がある。日本でも余り好まれない小鳥であったのではなかろうか。
 だが、ハヤニエが冬に向けての保存食の爲であるとするならモズは優れた記憶力をもった鳥である。喜寿に達していよいよ進行する物忘れに悩む筆者にとっては、広い野山でハヤニエの場所を憶えているモズの記憶力には脱帽するほかない。
 その後の観察でモズは木の枝にとまる時は下からスウッと上がって止まるが、羽ばたくときに翼の白い斑紋が目立つ。また、時々、尾をくるりと回す習性があり、それらの様子はなかなか優雅に見えることも知った。
 ちなみに、モズを描いた絵では宮本武蔵の「枯木鳴鵙図」が有名である。
 今日(2015.11.3)、藤井方面へ散歩の途中でけたたましい鳥の鳴き声を数カ所で耳にしたが何れもモズであった。いわゆるこれが縄張り確保のための「モズの高鳴き」であろう。こうしてオスもメスもそれぞれの縄張りを確保して単独で冬を迎えるのであろう。

資料→冬のモズ−YouTube

〔写真撮影 2009.5.13下石黒 〕


             初夏のモズ ♀

写真2013.6.20大野

写真♀2015.10.27畔屋
              モズ ♂

写真2009.5.26寄合

         庭にやって来たモズ
写真2014.12.12松美町
写真2015.1.25日吉町

写真2020.1.4田塚
資料→冬のモズ-YouTube


解 説
モズ科
 九州以北の各地で繁殖する留鳥。低山や平地にすみ、農耕地や家のまわりで普通に見られる。
 体長約20p。先端がかぎ状の鋭い嘴とがっしりとした足を持つ。
 オスは翼と尾は黒っぽく眼を横切る黒い帯がある〔左写真〕。メスは目の上の黒い帯はなく腹はクリーム色で他は褐色。〔上写真〕
 鳴き声は「キィー、キイー、キー、キチキチキチ」と聞こえる。また、「百舌」の名前の由来とも言われるが、色々な鳥の鳴き声もまねることができる。 
 繁殖期は4〜7月で、よく繁った低木にお椀型の巣を作り、3〜6個の卵を産む。カッコウに托卵されることもある。
 主な餌は昆虫や小魚、カエルカナヘビ、ネズミなどであるが、時には小鳥も襲う。



    電線にとまったモズ
写真2012.4.10上石黒

        後姿 ♂
写真2009.4.15上石黒

      後姿 ♀
写真2009.2.16 茨目 撮影克成

  モズのハヤニエ(早贄)-1

 写真2014.11.28
−ウメの木
 モズのハヤニエ(早贄)-2

2018.11.25 冬囲時ユズの木

    朝日を浴びて

写真2015.9.5鵜川河口

 鉄塔でけたたましく鳴くモズ
写真2015.11.3田塚

  冬の寒風の中で

写真2015.12.30藤元町

   アンテナに止まったモズ

2015.11.12下藤井