イソシギ
   
 
 
暮らしとの関わり
 柏崎で唯一繁殖するシギだと思っているが、具体的な巣卵は見つかっていない。柏崎で越冬もする。つまり、年間を通して見られる留鳥である。
 他にも、ハマシギ、シロチドリなどが、柏崎の海岸で冬越しするが、いずれも数羽から20羽くらいの群れになる。しかし、このイソシギは、単独1羽で越冬しているようだ。池、河口、川などの水際で見られる。この冬は、鵜川や鯖石川の河口で何度か観察したが、総て1羽であった。
 みなとまち海浜公園には“浜千鳥”の歌碑がある。歌詞の中にある「夜鳴く鳥」はこのイソシギのことかと思う。柏崎に夏鳥として滞在するチドリはコチドリとシロチドリだ。しかし、両チドリとも夜間は啼かないとされている。これらのチドリはチドリ科だが、同じチドリ目のシギ科イソシギは前出のとおり夏に滞在し、夜間も鳴く。未だ、柏崎の海岸に砂浜のあった頃、夜間砂浜を歩くとイソシギの声が聞こえてきたことがあった。7月末の花火の時、浜にゴザを敷いて花火を見学をしていると、この鳥が鳴きながら頭上を飛んでいったことを覚えている。
 この唄が作られた季節は春から夏にかけてのことかと思う。それに合う鳥は、イソシギしかいない。(情報提供-長谷川)
 前述の専門的見地から、番神海岸を散歩中の「浜千鳥」の作者にインスピレーションを与えた鳥はこのイソシギであることが分かった。
 しかし、筆者は先年(2015)、ハマシギと番神海岸で出会い、大群が飛翔するときの銀色の翼に魅せられてしまい、天から、唱歌「浜千鳥」とはハマシギと決め込んでしまった。
 そんなわけで横着ながらハマシギの頁を作り変える気もない。したがって唱歌「浜千鳥」との由縁の委細は「ハマシギ」の頁をご覧いただきたい。→ハマシギ

写真 2016.5.27 柏崎海岸 長谷川


             横から見た姿(※過眼線)

写真2016.5.27 柏崎市 長谷川


解 説
チドリ科
 日本でも北海道および本州南西部・対馬とで繁殖する。 本州中部地方以北では冬季になると越冬のため南下する夏鳥である。
 全長20cm。翼長29cm。翼開張38-41cm。上面は灰褐色で覆われ、羽毛の軸に沿った斑紋(軸斑)は黒い(上写真)。下面は白い羽毛で覆われ、胸部側面に羽角にかけて白い部分が切れこむ(写真)。顔から胸部にかけて灰褐色の斑紋が入る。眼上部にある眉状の斑紋(眉斑)は白く、嘴の基部から眼を通り後頭部へ続く暗色の過眼線が入る(左下写真)風切羽上面には白い斑紋が入り、飛んでいる時には帯状に見える。
 嘴の色彩は暗褐色。後肢は短く(上写真)、色彩は黄緑色や黄褐色。
 幼鳥は上面を覆う羽毛の羽縁が黄褐色で淡色。
 食性は動物食で、主に昆虫を食べるが、甲殻類、軟体動物も食べる。獲物は水辺を歩き回ったり水面わ泳ぎながら捕食する。
 鳴き声は「チーリーリー…」と聞こえる。



      前面からの姿
写真2016.5.27 柏崎市 長谷川