アカハラ 
   
暮らしとの関わり
 柏崎の代表的なツグミは、冬鳥ならツグミ、夏鳥ならクロツグミです。ツグミは冬の開放地、例えば、田圃、芝生公園、芝生校庭などで数多く見ることができます。一方、クロツグミは4月の末頃に、中国南部や東南アジアなどから渡って来て、柏崎の山林で子育てをします。そして、秋には再び南の地へ渡っていきます。米山や黒姫山などだけでなく、比較的低い近くの針広混交林でも子育てをします。
 今回、紹介するアカハラは、クロツグミと同じ夏鳥ですが、少し高い標高の山林で繁殖するツグミの仲間です。そのため、柏崎は渡りの通過地ということになりますが、今まで春秋の渡りの時の観察記録はあまりありません。正直言って、柏崎のどんなところを通っているのかどころか、柏崎を渡りの通過地として利用しているのかどうかさえ分かりませんでした。

 この鳥は、郊外の住宅地の空地、かつては畑として利用されていた場所にいました。しかし、ここ10年以上空地になったままです。年に何回か、地主さんが草取りにやって来ます。片側は写真のとおり一般住宅、もう片側も同じ面積くらいの耕作畑を介して一般住宅があります。この場所も、以前は住宅より畑が多く、さらに空地には中低木も多く自然豊かな場所でした。
 住宅地となった現状を見ますと、何でこんなところにアカハラが来たのが不思議です。もともと柏崎での記録が少ないだけになおさらそう思うのです。前出のとおり、柏崎の最高標高の米山より高い山野で繁殖する鳥です。不思議ですが、私たちの眼に触れることなく、柏崎を通過していたのかもしれません。今回を機会に、今後も追跡していかなければならない鳥が、またひとつ増えてしましました。(長谷川)

 数年前の秋、石黒の生家のセンゼェ(屋敷内の畑)脇の小さな池の金魚ために鳥よけの網をかけて置いたところ、ツグミ位の大きさの腹部の白い鳥が足を網に絡めてしまいばたついていた。近くの畑におられたSさんが、網から外して庭の冬囲いしていた私のところに持ってこられて鳥の名前を尋ねられたが分からず、とりあえず2、3枚写真を撮って放してやった。後日、野鳥研究科の長谷川さんに尋ねると「シロハラ」という鳥であった。
 本種アカハラも同じツグミ科で形体も似ている。シロハラの頁と重複するが、ここでもシロハラとの出会い様子を記してしまった。アカハラも晩秋のころに石黒を通過すると想うが、故郷石黒で出会いたいものだ。

 (写真 2019.4.18 柏崎市内 長谷川)


解 説
ツグミ科
 本州以北のやや高い山地や東北、北海道の明るいカラマツ林などで繁殖し、冬季は積雪のない本州中部以西の林に移動して棲む。
 全長23.5 〜 24cm。胸部から腹部側面にかけてオレンジ色の羽毛で覆われ、和名「アカハラ」の由来になっている。
 頭部は暗褐色の羽毛で覆われ、顔や喉はやや黒ずむ。
 上嘴の色彩は黒く、下嘴の色彩は黄色味を帯びたオレンジ色。後肢の色彩は黄色味を帯びたオレンジ色。雌は雄に比べてややぼんやりした色彩で喉に斑点紋様がある。
 食性は雑食で地面に下りて昆虫やミミズなどの小動物を食べる。
 鳴き声は「キョロン キョロン チー」、または「キャラン キャラン ツリー 」と聞える。時には「ツィー、キョ、キョ、キョッ」と聞える鳴き声もする。



       全体の様子
 写真 2019.4.18 柏崎市内 長谷川