ヤブツルアズキ
暮らしとの関わり
  石黒では「ヤマアヅキ」と呼んで、昔は女の子が種子をお手玉の中味に使った。栽培小豆の半分ほどの小粒な種子であったため、お手玉十数個分の種子を採取するのはそれなりの手間がかかった。筆者は子どもの頃、姉の採取を手伝った記憶がある。晩秋の晴れた日で、布袋を持って袋の口で鞘を包み込むようにして採った。そうしないと果実に触ったとたんに鞘が割れて種子が飛び散ってしまうからだ。採取場所によっては、自然に鞘が割れる「ピシッ、ピシッ」という微かな音があちこちから聞こえたように記憶する。
 上の写真は寄合集落の風張りへの石黒川沿いの山道で撮った。秋の日差しの中で他の草を覆い尽くして黄色い花を沢山つけていた。
 ツルヤブアズキは小豆の原種であるといわれるが、なるほど種子は小形で色こそ黒いが酷似している。まだツルの出ない頃の草姿は小豆そっくであり、「こんなところに誰が植えたのか」と頭を傾けてしまうこともある。
 また、ツルにならず栽培種の小豆のような草姿で果実を実らせる種も見かけるのだが、別種であろうか。栽培種との中間種のようにも思われる。ご指導を仰ぎたい。
 上記の疑問について昨日(2013.10.8)、一つの発見をした。市街地周辺の農道脇で蔓なしの野生種の鞘が熟していたので、割り裂いてみると肌色の種子が現れた。子どものころに見たシロアズキそっくりである。シロアズキの越出か、それとも・・・・。→参考資料
 実に自然は無限の謎に満ち満ちている。82才になって耄碌し人の名前も出てこないこの頃だが、この地上で共に生きている草木、動物たちに対する親しみ(同朋意識)、興味、畏敬の念はいよいよ冴え深まるばかりだ。(2020.9.1)

(写真上・右中2005.9.9寄合 右上2005.8.2寄合 右下2005.10.1上石黒)


             花   期
写真2007.7.9下石黒


            花のつくり

写真2007.7.9下石黒

           つぼみから開花の様子
写真2007.7.9下石黒

            ツルにならない種か

写真2009.9.30下石黒
              茎、蔓、葉の粗毛

            葉裏の粗毛

写真2010.10.3寄合

         葉の形のいろいろ

写真2009.9.30寄合

             果実期
写真 2008.10.18 上石黒

解 説
マメ科
 本州から九州各地の道端や草地に見られるツル性の一年草
 根にはマメ科特有の根粒菌がみられる(下写真)。 
 茎の長さは3mにも達するものもある。茎や蔓、葉には粗毛がある〔左下写真〕
 葉は薄く3枚の小葉からなり長い柄がある。小葉の長さは2〜5p。浅く3裂したものもあり変化に富む。(下左写真) 
 花期は8〜9月。葉のつけ根から花柄をだして先に2.3個の花をつける。花は黄色でねじれたような特徴があり(左写真)、径1.5〜1.8p。
 豆果は小豆に似ていてサヤの長さは4〜9p(下写真)。小豆はこのヤブツルアズキを改良したものと言われる。
 名前の由来は小豆に似て蔓になることによる。



     根粒菌であろう

写真2007.7.9下石黒

        群生

 写真2007.7.9下石黒

      開花前の様子
 写真2007.7.9下石黒

  裏側から見た花のようす

写真2007.7.9下石黒

      果実期へ

写真2012.9.19下石黒

    小豆に似た豆果

写真2009.9.30寄合

    種子散布後の鞘

写真 2008.11.15下石黒

      種子拡大

写真2008.10.17下石黒

 蔓なしの個体にみられた種子
写真 2013.10.8 畔屋