ヤブガラシ
暮らしとの関わり
 石黒では、家の周りや道端によく見られる草である。放置しておくと厄介なことになる雑草だ。主として地下茎によって繁殖するため取り除きにくい。いたる所から芽を出して、たちまち数メートルにも伸びて木や草にからみつく。はびこってしまってからでは駆除が難しい。
 別名「ビンボウカズラ」とも呼び、名前の由来は「手入れの行き届かない貧乏くさいところに生える蔓草」という意味だそうだ。
 筆者の経験によれば、除草剤でもなかなか根絶できない強い生命力を持つ野草の一つである。
 花の付きはまばらであるが、留意して観察すると花期の後半には花盤(花弁は散っている)が橙色からピンク色に変わることが分かる。→ピンク色の花盤下写真
 また、花期には、多くのハチやコガネムシ類やアリなどが訪花していることから意外と豊かな蜜源をもった植物のようだ。
 今日(2012.10.28)、ヤブガラシの地下茎の繁殖力の強さを目の当たりに見る機会に恵まれた。下写真は筆者が山小屋の修理のために土建会社より7月18日に運んでもらって積み上げて置いた砂である。数日前から作業を始めて砂を運び始めたが、3ヵ月程で砂の中に侵入したヤブガラシの黄色い根は太いものは長さ2m直径が7mmほどあった。驚くべき繁殖力である。→下写真
 畑の害草の中では、したたか者であり石黒では昔から憎き害草の筆頭であった。地方によっては「ビンボウヅル」、「ビンボウグサ」などとも呼ばれているという。
 地下30〜40pの深さまで伸びて横に広がる根茎の駆除は除草剤のなかった時代は極めて難しかった。
 一方、若芽は茹でて水晒しをすると食用になるというが、十分に茹でて水晒しも4時間以上必要とのことだ。
写真2009.5.3下石黒


     砂置き場に侵入したヤブガラシ(
3か月後)

 写真 2012.10.28 下石黒

           繁茂するヤブガラシ

写真2007.10.11下石黒

                 花 期-1
写真 2014.8.15 田塚
             花 期-2
  写真 2022.7.9  柳田町

        花期後期のピンクの花盤

写真2007.7.27下石黒

           海岸のヤブガラシ

写真2012.10.8笠島

解 説
ブドウ科
 北海道から九州までの畑や人家のそばに見られる蔓性多年草
 地下茎をのばして繁茂する。
 葉は長い柄をもった複葉でふつう5枚の小葉に分かれるが3枚のものもあるという。〔3枚のものは染色体が2倍体という研究報告あり〕
 花期は7〜8月。葉の反対側に花柄を伸ばし3つに枝分かれ多数の緑色の小花を平らにつける。
 小花の直径は5o。花弁は4個、雄しべは4個、雌しべは1個で花盤は橙色であるが後にピンク色となる〔下写真〕。緑色の花弁の間から橙色の花盤が見える様は美しい。
 液果は球形で、熟すると黒くなる。
 名前の由来はあまりにも繁茂し、やぶ(藪)まで枯らす意味。



    ヤブガラシの葉

写真2007.6.27下石黒

  葉柄と反対側に伸びる花柄

写真2014.8.15田塚

 午前中に落下するガクと花弁
写真2007.6.27下石黒

     花拡大写真
写真2007.6.27下石黒

  花が散った後の花盤
写真2022.7.10柳田町

    ヤブガラシのつぼみ

写真2007.6.27下石黒

花期から果実期へ(※新潟県では結実しない)

写真2014.8.15田塚

  アシにからむヤブガラシ写真2007.6.27下石黒