ウキクサ
暮らしとの関わり
 昔は、水田に一面、ウキクサやアオウキクサが蓋をしたように覆っている光景をよく目にしたものだ。
 当時は、光を遮り水温を下げ稲の生長を妨げる害草とされたが、光を遮ることで水中の雑草の生長を押さえる効果もあるとも言われた。
 その後除草剤の使用により見られなくなったが、今では、たまに休耕田などで目にするようになった。
 小学生の頃、庭の手水鉢の中にウキクサを入れて観察して、その旺盛な繁殖力に驚いた記憶がある。さらに、中学生のころに見た水田での繁殖ぶりは、実にすさまじいもので正に爆殖というべきものであった。
 とはいえ、ウキクサには、ミニ植物のかわいらしさを子供心に感じたことも憶えている。もう一度、コップの中に入れてその繁殖の様子を観察してみたいと思っている。

(写真2005.7.5落合)


          田の中のウキクサ

写真2005.7.5落合

解 説
ウキクサ科
 日本全土、ほとんどの国に自生するといわれる水面に浮遊する多年草。冬季は枯死し小さな冬芽が母体を離れ水中に沈んで春を待つ
 葉に見えるものは茎の変化した葉状体と呼ばれるもの。空気の入った気室をもっていて水に浮く。
 葉状体は長さ5〜10o、幅3〜8oで裏面から10本ほどの根を水中に下ろす
〔上写真〕。根は中心に維管束〔水分や根から吸上げた無機養分の通路〕1本を通じ先端に根帽〔水中に垂れ下がった根の先端を包んでいる組織〕がある。裏面は赤紫色。
 普通3〜5個の個体が細い柄で連なって群体をつくっている。
 夏季に小さな白色の花を希につけるが目立たない。
 果実〔胞果〕はわずかにがあり1〜2個の種子がある。
 鳥の足などについて分布を世界中に広げる。
 名前の由来は水に浮いていることによる。




   アオウキクサと混生
写真2010.9.19上石黒