ショウジョウバカマ
暮らしとの関わり
 石黒では「センコウバナ」と呼んだ。花の形が線香花火に似ていることによるものであろうか。春の到来を告げる代表的な花の一つである。 →参考画像
 この花は、昔も今も、石黒では、道ばたや林の中などで普通に見られる。昔は、女の子が、この花を手折って、髪に挿して遊んだ。
 花の色は薄いピンク色が多かったが、濃淡に変化があった。花後に橙色に変わるものもある。(写真右下)
 子どもの頃に、葉の先端が地面についたところから芽が出ているのを見て不思議に思ったことを今も憶えている。〔参考写真〕
 晩秋になると葉が赤く紅葉するが、これを猩々色の袴に見立てて名前が付けられたとする説もある。〔下写真〕
 今日〔2009.6.4〕、初めてショウジョウバカマの種子を見た。果実が割れて皿状に開きその上に撓りのある長い両翼を持った種子が盛り付けられた様にのっている。風にふかれて飛び散るのであろう。→左下写真

(写真上2004.4.28上石黒 右上2004.12.3落合 右下2005.5.19大野)


                花期


         花のつくり

写真上2006.5.6寄合

     根茎と花茎の基部に出る新葉

写真上2009.5.12寄合

    花軸下部の鱗片状の葉

写真2004.4.28上石黒

             花の色のいろいろ

写真2004.4.28上石黒

            果実期

写真2005.5.19寄合

              種子散布期

    写真2014.6.16下石黒


解 説
ユリ科
 北海道から九州までの少し湿ったところに生える多年草
 根茎は短く太い
〔左下写真〕
 葉は、地に広がってロゼット状になる。葉の長さは5〜18p。
 古い葉の先端に新しい小苗をつける性質がある。実際には種子による増殖よりも、この苗による増殖が多いと見られている。
→参考写真クリック
 花期は4〜5月。新葉の出る前に一本の茎〔花軸〕を伸ばして先端に数個の花が固まってつく。花軸は円柱形で葉はなく下部には鱗片状の葉を数個つける
〔左下写真〕。高さ10〜17p。この頃に新葉が花茎の基部の横に出る。
 花は白色から紫色まで様々であるが淡紅色が多い
〔写真左下〕 花披片の長さは10〜15oで質はやや厚い。
 雄しべは6個で、花糸は長く花びらより突出している。ヤク〔葯〕は黒紫色で狭い楕円形で長さ2o内外
〔左写真〕
 花が終わると花茎が30〜40pにのびて花披片は緑色あるいは色がさめるがそのまま残る。
 子房は円形だが、さく果になると3個の突起状になり
〔上写真〕すと割れて中から両端が長くとがった糸のようなをもった種子がこぼれ出て風に飛ばされて散布される。下写真〕。
 名前の由来は猩猩袴〔しょうじょうばかま〕の意味。花を猩猩にたとえ下の広がる葉を袴に見立てたのではないかと言われる。
猩猩→想像上の動物で顔と足は人に似て髪は赤く長く垂れ、よく酒を飲むといわれている。



        つぼみ

写真2009.4.9下石黒

    吸蜜するハナバチ
写真2010.4.30上石黒

        花後

写真2009.4.9下石黒

      糸状の種子


写真2009.6.4下石黒

      冬の紅葉

写真2010.11.24上石黒