オオバキスミレ
暮らしとの関わり
 ようやく訪れた石黒の春、まず目につく花のひとつがオオバスミレである。群生していることが多いのでとくに目をひく。
 上の写真は上石黒のタカトコ(南山)で4月の中旬に撮った。木の下で日当たりがよくないせいか花のつきは好くなかったが、その後、板畑と居谷で出会った群生は見事に花をつけていた。
 筆者の感想では、石黒における、オオバキスミレは「春によく見かけるスミレだが、ありふれた存在ではない」、と言いたい植物だ。
 また、スミレは「菫色」という言葉があるくらい同系色の種が多い中でオオバキスミレの鮮やかな黄色は強く印象に残る。
 その様態は変化が多い植物の一つとされているが、来春までにデータを用意しておいて自分なりに観察してみたいものだ。
 昨日(2015.4.28)に、2年ぶりに上石黒の高床を訪れた。上り口にある筆者の曾祖母の生家に荷物を置いてカメラのみを持って上った。
 未だ山道の大半は雪に覆われていた。昨年以外は毎年上っているのだが頂上に近い場所から上石黒を眼下に眺め撮影できる。今回も「石黒便り」に載せるための写真撮影が主な目的だった。
 ところで、この道中にオオバキスミレの小群生があり毎年、出会い声をかける仲だが、今年も健在であった。久しぶりにカメラにおさめ、今、上記載メインの写真と比べてみると撮影の角度が異なり別の場所のように見えることが意外であった。しかし、撮影日は奇しくも10年前の同月同日であることに気が付き偶然とはいえうれしく思った。

(写真上・右上 2005.4.28上石黒高床 右下2005.5.8板畑)

 上記載写真の同じ場所に自生し続けた個体

写真2015.4.28上石黒高牀上り道

      花期のオオバキスミレ

写真 2006.5.9上石黒

     側弁の内側の毛

写真2005.4.28上石黒

     根生葉と地下茎から出る細い根

写真2010.5.18落合

                  小群生

写真2011.5.8居谷
解 説
スミレ科
 北海道と本州近畿以北の主に日本海側の山地に生える多年草。中部の日本海側の多雪地帯に最も多い。高さは10〜20p。
 地下茎は横に這い細根が節々から出る
(左下写真)
 根生葉は数少なく柄が長く心臓形で長さ5〜10pで縁には鋸歯がある。茎葉は3〜4個で茎の上部に集まり葉柄は短く根生葉より小さく基部は根生葉とは異なる。
(下写真)
 花期は4〜5月。茎上部に径3pほどの黄色い花を横向きにつける。ふつう、唇片側弁には紫色のすじがあり、唇弁はごく短く側弁の内側には毛がある
(左下写真)花柱の先は丸くふくらみその両側には毛がある。つぼみは紫褐色を帯びる。
 さく果には毛がない。
 スミレの中でも勢力旺盛で日当たりの良い斜面などに群落をなす。
 名前の由来は「大葉黄スミレ」の意味で他のスミレに比べ葉が広く大きいことによる。



  心形で先が尾状に尖る葉
写真 2010.5.18上落合

 根生葉(左)と茎葉との形の比較
写真 2010.5.18上落合

         托葉
写真 2010.5.18上落合

   横から見た花と短い矩

写真2010.5.18落合

     紫褐色のつぼみ写真2010.5.18落合

         さく果
写真 2006.5.19上石黒