オキナグサ
暮らしとの関わり
 オキナグサは2000年頃には故郷石黒の板畑集落で田の周りの斜面に見られたと聞いているが、筆者が本サイト制作を始めた2005年には、すでに確認出来なかった。他集落の山地も広く歩いたが未だ(2017)確認していない。 
 盗掘などにより減少しつつあったところに、除草剤の普及したため急激に減少したと考えられる。
 未だ断定はできないが残念ながら石黒では、絶滅した植物と断言しても良いであろう。(今後、出会うことを願っているが・・・・)。
 上の写真は、2005年に筆者がホームセンターで求めた実生の株を石黒の畑の脇で栽培したものであり、石黒産のDNEを持った種ではないが、これも2010年には消滅してしまった。
 実生写真は、一昨年も、畑で栽培されている個体の種子をハーブ園の高橋さんから頂いた種子を自宅の庭に蒔き、現在観察しているものである。しかし、結局、開花するまで成長したのは一株のみであった。
 ところが昨日(2015.4.12)、鉢に種子をまいた時に種子が風で飛んだものか庭の何カ所から発芽して成長した個体を発見して驚いている。(下写真) 
 確かに、種子を蒔く折りに羽毛のついたソウ果が封筒から取り出した折に半分近く風に飛ばされたことを憶えている。(※どうやら種子の保存は、種子についた羽毛の部分を切り取って保存した方がよいようだ)その種子が地面に落ちて発芽したものであろう。
 上述の事から、石黒では10年も前に絶滅した本種も意外に逞しい繁殖力をもった植物であることを知った。
 ふるさと石黒地区でも除草剤さえ使われなければ今でも自生していたと想われる。
 昨年(2017)から、庭に自生状態となったオキナグサを観察しているが、春の出芽が非常に速い。今年は例年になく気温低いにもかかわらず2月下旬にすでに芽が地上に現れる。昨日(2021.12.15)松美町の庭に観察用に植えたオキナグサの芽が下の写真のような状態で成長している様子に驚いた。芽の全体を覆う毛によって寒さから守られているのであろう。
 今日(2024.3.24)庭木の囲い取りをしたおりにオキナグサの若芽を観察するにツクシのような可愛い形をしていたので本欄の画像に加えた。わが故郷の棚田の多くが放棄田と化しつつあるが、かつては田の畔(くろ)に多く生えていたオキナグサは復活することが出来るであろうか。播種、または幼苗を植えて試みたいと思ったりしている。

※花期のオキナグサ−ビデオ資料
※種子散布のオキナグサ−ビデオ資料
(写真2005.5.28下石黒)


              発芽

写真2013.7.15観察栽培

              早い出芽

 写真 2021.12.15 松美町

写真2018.3.4松美町

写真2016.3.10 松美町自宅庭

写真2016.3.20 松美町自宅庭


写真2024.3.24 松美町自宅庭

         茎葉

写真2005.5.28下石黒

            開花前のつぼみ


写真2019.4.5松美町

                花期-1

写真2005.5.28下石黒                 

                 花期-2写真2016.4.8松美町

写真2019.4.20 松美町

          つぼみから開花

写真2014.4.12松美町

写真2016.4.9松美町

           雌しべと雄しべ

 写真 2023.4.16松美町

         伸びる花柱

写真2016.4.13松美町

      花後に伸びた花柱
         写真2005.5.28下石黒


写真2013.6.16鵜川

  花後に伸びた有毛の長い花柱をつけた種子
写真2016.5.17松美町

解 説
キンポウゲ科
 本州・四国・九州の各地の日当たりのよい草原に生える多年草
 根は直下しやや多肉。まばらに分枝して暗褐色。
 葉は根葉には柄があり主根の頭部から叢生する。2回羽状小葉は更に2〜3深裂する。茎葉は柄がなく基部は多少合着して線状の裂片に分裂する〔左写真〕
 花期は4〜5月。10pほど花茎を出して先端に1個の鐘形の花を下向きにつける。ガクは6個、長楕円形で長さ2〜2.5p。外面は長い白毛でおおおわれている(下写真)。雄しべは多数、は黄色、雌しべも多数。子房や長い花柱には毛があり花柱の上部は紫色をしている。花の内面は暗赤紫色。
 そう果は柄の先に多数が長卵形に集まってつき長さ3o。花後に伸びた有毛の長い花柱があり羽状で長さ4p〔左写真〕。羽毛は後に開出して風にのって種子を撒布する〔下写真〕
 名前の由来は、一つ一つの種の先から伸ばした3〜5pの長い花柱を白髪の翁にに見立てたもの。
 環境省は絶滅危惧種U類(絶滅の危惧が増大している植物)に指定している。また、減少の原因は盗掘や山地の管理放棄、除草剤の使用などによるものであろう。



        実生
写真2013.8.12観察栽培
写真2013.9.14観察栽培
写真2013.10.3観察栽培 写真2015.4.12松美町

     早い出芽

写真2018.3.4松美町

写真2017.2.28 松美町

写真2024.3.24 松美町

    早い出芽-2
写真2016.3.10 松美町自宅庭

    開き始めた葉
写真2016.3.20松美町

   毛におおわれた若芽
写真2017.3.28松美町

      花つぼみ

写真2016.3.25松美町

      つぼみ
写真2016.3.27松美町

       開花前
写真2019.4.5松美町

         花



    ガク外面の長い毛

   雄しべと雌しべ

    ガクの表裏
写真2016.4.9松美町

    花期から果実期へ
写真2019.4.29松美町

    果実期初期-1


     果実期初期-2
写真2005.5.28下石黒

  花柱の開出した羽毛

写真2005.5.28下石黒

 種子(長さ3mm径1mm)

写真2016.5.17松美町

     種子散布後
写真2013.6.16鵜川