ムラサキサギゴケ
暮らしとの関わり
 ムラサキサギゴケは、石黒では普通に見られる。
 春早くから田の畦や畑の脇などやや湿り気の多いところに生える。花期が終わる頃から盛んにランナーを出して地面を覆うように広がる様子が見られる。
 地面を這うように広がるところから、草姿がどこかだらしない感じもするが、目を近づけてよく見ると花は色、形とも美しい。
 「ムラサキサギゴケ」とは意外な名前だが、唇形の花の上唇の部分が確かにサギの頭に形が似ている〔上右下写真〕。一方、サギゴケは花が白いので花全体の形を白鷺の姿に見立てたものであろう。
 本ページ掲載の個体は花の下唇の色が白に近く、トキワハゼと思われたが、茎が立ち上がらず匍匐枝を出して地面に広がっていたことからムラサキサギゴケと同定した。ご指導を仰ぎたい。
 名前の上の部分に「ムラサキ」がつくので一般にはサギゴケの方が母体と考えるられるが、逆に花の白いサギゴケをムラサキサギゴケの変種とする考え方もあるようだ。

 (写真2006.5.13 下石黒)


           根もと多い葉

写真2006.5.13 大野

写真2011.5.25 磯之辺(近隣村)

     匍匐枝(ランナー)で繁殖する様子

写真2009.4.26 上石黒

        長さが異なる雄しべ

写真2009.5.17 下石黒

解 説
ゴマノハグサ科
 北海道から九州各地の湿気のある所に生える多年草
 茎は斜上し毛があり、ほふく枝(ランナー)を伸ばし群生する(左下写真)。(花が似ているトキワハゼはランナーを出さない)
 根元の葉は対生し卵形で長さ2〜5p、幅1.5〜2p。縁には不揃いの鋸歯がある。ほふく枝の葉は対生し小さい(下写真)
 花期は4〜5月。高さ10〜15pの花茎を伸ばし、紅紫色の花を数個つける。
 花は唇形花冠上唇は尖って2裂する。下唇は3裂し中央は2列に盛り上がり棍棒(コンボウ)状の長毛をつける(上・左下写真)ガクは鐘形で5裂し球形の果実を包む。2個ずつ長さの異なる4個の雄しべがある(左下写真)
 名前の由来は茎が地表を這うように広がり、花の形がサギの頭部に似ていることによる(上写真)



    ほふく枝の対生の葉生
写真2006.5.13 下石黒

     対生する葉

写真2006.5.13 下石黒

        花の形

写真2006.5.13 下石黒

        果実

写真2009.10.25 下石黒

       茎の毛

写真2006.5.13 下石黒