ムカゴイラクサ
暮らしとの関わり
 石黒に生まれ育った筆者が68年目に初めて出会ったくらいであるから、石黒では極めて数少ない植物である。
 野山が遊び場であった子供時代、ムカゴがつくという特徴とトゲがあり触ると痛いこの野草に出会えば記憶に残ったはずである。少なくとも下石黒集落付近には存在しなかったのであろう。
 いずれにせよ、相手が草とはいえ、こうして出会えたことは実にうれしいことである。その後、落合で十数本群生しているムカゴイラクサにも出会った。(下写真)
 今日〔2014.9.17〕稲刈りが始まったばかりの板畑を訪れた。久しぶりに嶽に足をのばすと、蕎麦畑手前の道上斜面にムカゴイラクサの数本が見られた。
 居谷、落合、板畑に見られるということは、ムカゴイラクサは石黒地区全体に自生していると思われる。しかし、稀にしか目にしないのは繁殖力が弱い植物なのであろうか。刺さるとしばらく痛いとげのある草でもあるので余り繁茂しても困るが・・・。

(写真2005.9.17居谷)



            ムカゴからの実生

写真2014.5.10松美町 観察栽培

      ムカゴイラクサの葉

写真2005.10.7居谷

      ムカゴイラクサの小さな群生

写真2007.9.4落合


               花期

写真2014.9.17板畑 嶽

            全体の草姿

写真2005.10.7居谷

               
晩秋のころ

写真2013.10.28小清水


解 説
イラクサ科
 北海道から九州の山地の日影に生える多年草。根には芋状(塊茎)があり翌春に芽を出す。
 高さ約50p。イラクサに似るが葉柄が長く互生する。(イラクサは対生
 葉は、先端は鋭く尖り基部は円形で縁にはあらい鋸歯がある。長さは5〜15pで茎と共にトゲ状毛がある。
 トゲ状の毛には酸が含まれているため皮膚に刺さるとしばらく痛む。
 花期は8〜9月。ムカゴもこのころにつく。雌雄同株で雄花(写真右中)は葉の付け根につく。雌花(写真右上)は長い柄があり茎の上部から突き出し一方にしか分枝しない。(下写真)
 若芽はゆでて食用にする。
 名前の由来はむかごがついていて触ると痛いことによる。



       ムカゴ

写真2005.9.17居谷
写真2013.10.28小清水

        雄花

写真2005.10.7居谷

   雌花と分枝の仕方


       茎のトゲ

写真2007.8.27居谷

       葉のトゲ
写真2013.11.5野田