キツネノボタン
暮らしとの関わり
 石黒ではキツネノボタンよりケキツネノボタンの方が多く見られる。
 子どもの頃、有毒であることは言い聞かされていたが、コンペイトウ状の果実を仲間と相手に向けて爪ではじき飛ばして遊んだ。春のみならず秋のころも遊んだ記憶がある。
 ともかく、いつも実と花が同時についているのを不思議に思ったことを憶えている。
 キツネノボタンはケキツノネボタンと酷似するが、茎の毛の多さと果実の小果の先が曲がっていることで区別できる。(下写真)
 
キツネノボタンが有毒植物であることを子どものころから知ったのは、飼いウサギの世話がどこの家でも子どもの仕事であったからだった。
 その他、田の畔や畑の草取り、山菜取り、山遊びなど、植物に触れる機会は多かった昔の暮らしは、自ずと子どもの植物への関心を高めたように思われる。

(写真2004.6.18下石黒)



        スギナの中のキツネノボタン

撮影2009.5.21下石黒

            全体の草姿

撮影2007.6.16大野

      ケキツノボタンとの毛と実の比較
キツネノボタン ケキツノネボタン
撮影2007.6.16大野 写真2009.5.14下石黒
          小葉の鋸歯

撮影2007.6.16大野

解 説
キンポウゲ科
 田の畔や道端の湿ったところに生える多年草
 茎は中空〔下写真〕で太く多少毛がある。時には無毛となる。
 茎は高さ30〜50pで直立し上部はよく枝分かれする。
 根生葉は長い柄の基はサヤとなる。(下写真)葉は3つの小葉からなり小葉は2〜3裂し縁には不規則な鋸歯がある(左下写真)。茎の葉は互生で短柄があり3個に全裂し柄の基はサヤとなる〔左写真〕
 花期は春〜秋。各枝の先に黄色い花をつける〔上写真〕。花の径は1〜1.3pほど。ガクは5個で淡緑色、外面に毛がある。
 花弁は5個で平らに開き、艶があり基部に微細な鱗片がつく。雄しべは多数、子房は長卵形で花柱はかぎ状に曲がっている。
 そう果は径1pほどでコンペイトウ状で直径7〜10oくらい。酷似するケキツネノボタンに比べ全体に毛が少なく実の先がかぎ状に曲がっている〔左下の比較写真〕。有毒植物。
 名前の由来は、野に生えていて葉がボタンに似ていることによる。



      茎葉の基部

撮影2010.6.18下石黒


     中空の茎

撮影2007.6.16大野

 根茎と鞘状の基礎の根生葉

撮影2007.6.16大野

 雄しべと先の曲がった雌しべ

撮影2007.6.16寄合