イガホオズキ
暮らしとの関わり
 石黒では「スッパスメ」と呼び子供の頃〔1945前後〕に好んで食べた。よく熟したものを食べると例えようのない一種独特の良い味がした。
 センゼェ(屋敷続きの畑)の端に毎年のように生えたが、大人は、子どもがその果実を食べることを承知していて刈り取らずに残しておいた。
 私たち七十歳代の者にとっては、親しいイガホオズキも筆者の見る限り石黒のみならず柏崎、刈羽地区では、ごく稀に見る植物の一つになってしまったようだ。絶滅危惧種といってよいであろう。
 子どもの頃に親しんだ植物が見られなくなることは淋しいことだ。

 関連サイト→昔の子供の暮らし

(写真上2005.7.28板畑 右上2005.8.10落合)


             草姿

写真2005.8.10上石黒

             葉の形

写真2006.8.4下石黒

          たわわについた果実

写真2006.8.4下石黒


解 説
ナス科
 北海道から九州の山地の林の縁の木陰などによく見られる多年草
 茎はふたまたに枝分かれし、まばらに軟毛が生える。高さ60pほど。
 葉は互生し普通、節に2枚ずつつき柄があり卵円形で長さ4〜8p、幅3〜5p。先は急に狭くなり短く尖り縁は全縁で毛が生えている〔左写真〕
 花期は6〜8月。葉の脇から2〜3個の花柄のある花を下向きにつける〔上写真〕
 ガクは小形の盃形でトゲ状で先は浅く5裂する。花は短い釣り鐘形で淡黄白色で中心は緑色を帯び縁は浅く5裂する。5個の雄しべと1個の雌しべがあり花糸には毛はない〔下写真〕。
 果実は径1pほどの球形となり白く熟す。食べられる。
 名前の由来は葉がホウズキに似ていることと果実の突起をイガに見立てたもの。
     


        つぼみ
写真2006.8.4下石黒

     雌しべと雄しべ

写真2006.8.4下石黒

熟した果実 5裂したガクが残る

写真2006.8.28下石黒