イボクサ
暮らしとの関わり
 石黒では「ヨバイグサ」と呼んだ。ヨバイは「夜這い」の意味で、繁殖力旺盛で他家所有の水田まで境の畔を乗り越えて侵入することからつけられた名前であろう。
 よく見ると花は小さいが同種のツユクサに比べて、白色に紅を差したような色合で、どことなく妖艶な感じがする。
 昔は田の厄介な害草であったが、今では休耕田で幅をきかせている。
 イボグサという名前の由来である、この草の汁をつけるとイボがとれるという薬効については石黒では伝わっていない。
 先日、上石黒の休耕田でイボクサとコナギオモダカが混生している姿を見て、昔の田の害草三役の揃い踏みを見るようであり、なにか悲しいような可笑しいような気持ちになった。→参考画像

(写真上・右上2005.5.19大野 右下2005.10.5大野 )


            群生

撮影2007.9.6大野

          花のつくり

撮影2006.9.20上石黒

           イボクサの紅葉

撮影2007.10.16大野

        水中のイボクサ

撮影2006.9.19落合


解 説
ツユクサ科
 湿原や休耕田などに生える一年草
 茎は地面を枝分かれして這い節からヒゲ根を出して〔下写真〕斜めに立ち上がる。全体が淡緑色で淡紅紫色に色づく〔左下写真〕
 葉は互生し長さ3〜4.5p、先端は次第に尖り基部は柄がなく短い鞘となって茎を包む。草の質は柔らかく滑らかで光沢がある。
 9〜10月に茎の先や葉の付け根から細い柄を出し淡い赤色の花(上写真)をつける。花は1日花で外花被〔ガク〕3片は薄緑色で内花被は〔花弁〕は白色で薄紅をさし、質は非常にもろい。雄しべ3個は淡紫色の棒状をしていて仮雄しべも3個ある(左下写真)
 さく果は楕円体で長さ6oくらい。外花被が残ってこれを包んでいる〔下写真〕。種子は扁平で四角形または三角形の種子がある。種子表面には不整な突起がある〔下写真〕。  
 名前の由来はこのクサの汁をつけるとイボがとれるといわれたことによる。



    花から果実へ

撮影2011.9.22落合

        果実
撮影2007.10.16大野

      さく果と種子


撮影2007.10.16大野

    節から出るヒゲ根

撮影2007.10.16大野