ホトケノザ
 ホトケノザのと出会いは、今日(2016.4.19)が、初めてである。柏崎では稀な植物のようだ。田塚の田のあぜ道に2株が生えていた。赤い色の花が目を引いた。
 名前は知っていたが、そちらは春の七草のうちのホトケノザ、つまりキク科のコオニタビラコのことであった。
 1981年版の「柏崎の植物」の索引には「ホトケノザ→オニタビラコ」とあるのみである。2002年に刊行された「西山町の自然」には「(前文略)
近年見られるようになった種類」とある。1997年刊行の「高柳の自然」には名前は見えない。ちなみに1984刊行の「栃尾の植物」にも名前はない。
 1965刊の日本植物誌によれば『本州、四国、九州の平地や原野、畑地に生える」とある。WEB上のウィキメディアには北海道以外の「本州・四国・九州・沖縄に自生する」とあるので本州北部はには少ないのであろう。
 また、1989刊行の新潟日報社の「新潟県野草図鑑」には掲載されているがそうした記載はない。
 今日(2016.5.3)は、真夏並みの29度℃の気温となった。風もあり撮影には不向きの日であったが、ホトケノザの自生地を訪れるとすでに種子散布期に入っていた。数個の種子を持ち帰り顕微鏡でみると、先端の部分にエライオソーム(アリの好む物体)らしきものが見られた。早速調べてみると果たしてそのとおりでアリ散布植物の一つであった。しかし、よく見るとエライオソームの付いた種子と付いていない種子がある。何れも同時に同じ場所から採取したものなのであり、初めからエライオソームの付かない種子もあるのかもしれない。できたら種子を播いて実生から育てて来年は観察してみたい。
 また、いろいろのデータほ見ているとアリによる散布範囲も最大70〜100mの記録もあるとのことであり、認識を新たにした。しかし、平均的には10m範囲ではなかろうかと思うが如何であろうか。

写真2016.4.19新田畑


             自生の様子
写真2016.4.19新田畑


         つぼみと花後などの様子

写真2016.4.21新田畑

            葉や花の大きさ
写真2016.4.19新田畑


  対生する2枚の葉の裏側も仏の座る蓮華座に見える

写真2017.4.19藤井

           基部の葉のつき方
写真2016.4.19新田畑


解 説
シソ科
 一年草あるいは越年草。 日本では、北海道以外の本州、四国、九州、沖縄に自生する。
 道端や田畑の畦などによく見られる雑草である。
 成長した際の高さは10〜 30cm。四角断面の茎(下写真)は柔らかく、下部で枝分かれして、先は直立する。
 葉は対生で、縁に鈍い鋸歯があり、下部では葉枝を持つ円形、上部では葉柄はなく茎を抱く(上写真)
 花期は3 - 6月、上部の葉脇に長さ2cmほどの紫で唇形状の花をつける。  つぼみのままで結実する閉鎖花が混じることが多い。
 種子散布はアリによる。
 春の七草の一つに「ホトケノザ」があるが、これは本種のことではなく、コオニタビラコというキク科の草のこと。
 したがってこれは毒性もあり食用には適さない。
 名前の由来は対生する 2枚の葉を仏の座る蓮華座に見立てたもの。別名のサンガイグサ(三階草)。



□の茎と下部の葉のつき方写真2016.4.19新田畑

      つぼみ
写真2016.4.21新田畑

   花斜め後ろから
写真2016.4.19新田畑

閉鎖花と開放花のつぼみ
写真2016.4.21新田畑

       種子
写真2016.5.3松美町