ヒナタイノコズチ
暮らしとの関わり
 石黒では、ヒカゲイノコズチと同様普通に見られる。ヒカゲイノコズチにくらべたくましい感じをうける。
 ヒカゲイノコズチとは、花が密集してつくこと、葉の形の丸みと厚い質感からほぼ区別できる(正確には花の付け根の付属体がヒナタイノコズチは小さいことで区別できるという。)
 子どもの頃には、飼いウサギの餌にもならないばかりか秋になると細かな種が衣服につく好感のもてない草であった。
 とはいえ、小学校低学年の頃には大きな虫こぶ(虫えい−下写真)のついた茎を折って、葉枝をむしり取ったもので仲間と追いかけ合い頭をたたき合って遊んだ思い出がある。
 イノコズチウロコタマバエの幼虫であるという。それにしても、これほど虫えいの多く見られる野草もないだろう。まさに虫えいがこの草の顔となっているといえよう。

(写真2007.10.6 下石黒)
ビデオ資料→イノコズチの虫こぶを使った遊び

                 花期
写真2011.9.4上石黒

         両者の比較(右側ヒナタノコズチ)

写真2008.9.18 下石黒

      イノコズチの虫えいと内部


写真2009.9.6 下石黒

                全体の姿

写真2009.9.14落合

写真2008.9.6下石黒

解 説
ヒユ科
 本州から九州、中国地方に分布。日当たりの良い道端や荒れ地に多く見られる多年草
 根はまばらなヒゲ根状で(左下写真)茎は硬く断面は正方形〔下写真〕で、高さ90pに達するものもある。枝は対生に(左写真)伸ばし節は太い。茎には毛があり、紅紫色を帯びることが多い(上写真)
 葉は対生で柄がありまばらに毛が生え質は厚く、多少光沢を帯びる。長さ5〜15p、幅4〜10p。葉の辺縁は波状になる(左写真)
 花期は8〜9月。茎の先や葉のつけ根に花軸を出し緑色の小さな花をつける。花は5枚のガク片(4〜5o)、5本の雄しべ、  花柱は1個である(下写真)。花は花序の上で基部から先の方に開き花が終わると全体が下方に向く(上写真)
 花を包む(ほう)3枚の内2枚がトゲ状になっていて種子を動物の体につけて散布する。
 ヒカゲイノコズチに比べて花は密集してつき若干大きく、正確には花の基部の爪状の膜質付属物が小さいことで区別できる。
 名前の由来は太い茎をイノシシの仔の膝頭にみたてたもの。



        花  
写真2011.9.4上石黒

        花拡大

写真2007.9.12 下石黒

   花期後下を向く

写真2009.9.14落合

 イノコズチウロコタマバエの幼虫

写真2016.8.2茨目

       果実
写真2011.9.24下石黒

他物に付くため棘状の包
写真2009.9.14 下石黒
写真2011.12.2下石黒

       茎の断面

写真2009.9.14 下石黒

      葉の裏表
写真2009.9.14 下石黒