ハマウツボ
暮らしとのかかわり
 3年前から柏崎の海浜植物を調べ始めたが、ハマウツボにはなかなか出会うことができなかった。
 しかし、昨年(2013年)の3月に荒浜海岸で思いもかけず出会ったが、前年の枯れた花穂であった。場所を憶えて置いて翌年の5〜6月に何度か訪れたがついに出会うことができなかった。
 だが、何としても諦めることができず、隣の上越市域であるが柿崎海岸にカワラヨモギ(ハマヨモギ)が多くみられる所があるので、昨年の開花期に2回訪れたが、ついに出会うことはできなかった。
 そんなわけで、半ばあきらめていたところ、米山小学校の潮風フラワーヒルを一昨日〔2014.7.21〕訪れた。昨年から筆者が見ることを楽しみにしていたカワラサイコの花が満開との連絡をいただいたからである。
  一年ぶりに訪れた潮風フラワーヒルは、昨年の10月とは違った景観を呈していた。梅雨明け間近の植物たちは生気にあふれ真夏の日差しの中でそれぞれが独自の輝きを見せて迎えてくれた。
 その日のお目当てのカワラサイコもヘビイチゴヒメヘビイチゴに似た可愛らしい花を咲かせていた。
 そのカワラサイコの花を撮影しているときに、ふと傍らをみると、カワラヨモギの基部にハマウツボの花穂が株立ちしている。さらに、その付近を見ると数株のカワラヨモギの周りにハマウツボの花穂が見られた。だが、残念ながら7月も下旬であるから花穂はすべて果穂に変わっていた。
 完熟した果穂を1個もらってきて種子を取り出してみてその微小なのに驚いた〔右下写真〕。

 来春(2016)は是非、花穂の内にお目にかかりたいものである。

 そこで、今年こそはと、2016.6.1に、米山小のフラワーヒルを訪れた。ここは、いつ訪れても素晴らしい。3人の女の子がフラワーヒルの入口で遊んでいたので、そのことを伝えると、子どもの一人が「そうなの、あたし、いやのことがあるとここに来るの。すぐにすっきりするわ」と応じてくれた。

 30分ほどかけてハマウツボの花のつくりを観察したが苞とガク、特にガク片については、はっきりとは確認できなかった。今後の課題としたい。
 
 また、「イソスミレ」の表示板があったので来春は是非、未だ頁を作れないでいるイソスミレの撮影に訪れたい。

写真2016.6.1 米山小フラワーヒル


           カワラヨモギとハマウツボ

写真2016.6.1 米山小フラワーヒル



                 つぼみ
写真2016.6.1 米山小フラワーヒル 

                 開花始まる
写真2016.6.1 米山小フラワーヒル 

                   開花
写真2016.6.1 米山小フラワーヒル 


               苞とガク(再確認中)
写真2016.6.1 米山小フラワーヒル
             
             果実期の様子
写真2014.7.21米山小フラワーヒル


解 説
ハマウツボ科
 日本全土に分布し、海岸の砂地にはえる寄生植物
 主に、カワラヨモギの根に寄生する。根茎は太く肥大し肉質のひげ根を出して奇主植物につく。
 茎は太い円柱形で枝分かれせず、高さ10〜35p。葉緑素を欠き麦わら色(下写真)
 葉は小さな鱗片状で卵状披針形で茎にまばらにつき、まばらに毛がある(下写真)
 花期は5〜6月頃。茎の上部に花穂を出し、淡紫色の花をウツボグサのように密生する。花軸包葉には白い軟毛が生える(下写真)。包葉は基部が三角状で上部は細くなる。
 花は花柄はなく長さ2pほど。ガクは左右2片に分かれ各片の先は2裂し軟毛がある。
 花冠は筒型(下写真)で先は唇形となり、上唇は先が凹み、下唇は3裂し縁は波状。雄しべは2個ずつ長さの異なり4本。
 果実は狭楕円形のさく果で極めて小さな多数の種子をもつ〔右下写真〕。 この種子は長年にわたり地中で休眠状態を保ち宿主のハマヨモギなどの生じる刺激によって発芽するといわれている。
 名前の由来は花軸の形が矢を入れるウツボ〔靭〕に似ることによる。


      鱗片状の葉
写真2016.6.1 米山小フラワーヒル 

   真上から見た花穂
写真2016.6.1 米山小フラワーヒル 

      筒型の花
写真2016.6.1 米山小フラワーヒル 

先が凹む上唇と三裂する下唇
写真2016.6.1 米山小フラワーヒル 

    花の中の様子-1
写真2016.6.1 米山小フラワーヒル 

    花の中の様子-2
写真2016.6.1 米山小フラワーヒル 

  長さの異なる4個の雄しべ

撮影2014.7.22

   果実期の花果と種子

撮影2014.7.22

    種子の大きさと形

撮影2014.7.22