エチゴトラノオ
暮らしとの関わり
 海岸に生える植物であり、石黒には自生しない。柏崎では今日(2012.8.23)の鯨波海岸での出会いが初めてである。
 一見、クガイソウかと思われたが、花穂が直立し葉が対生であったので、帰宅してから調べると「柏崎の植物−1981刊」に写真が掲載されていた。名前は「エチゴトラノオ」であることが分かった。
 本種の分布は、東北地方から北陸地方の日本海側の海岸近くだけに限られ希少植物であることを知った。
※新潟県では特別地域指定植物(準絶滅危惧、要注意種)とされていて採取するには県知事の許可が必要
 その後(2012.9年)、西山地区までの柏崎の海岸付近を歩いて見たが数カ所で確認できた。中にはクズの草薮の中に逞しく小群生(下写真)をなしている姿もみられた。
 全国的にも自生地が限られ、自生地の一つである柏崎市でも希少植物であるエチゴトラノオは今後も留意して見守っていきたいものである。

 写真 2012.6.23 柏崎海岸


          表面に艶のある葉と形

写真2012.1.0.25柏崎海岸

               小群生

写真2012.9.12柏崎海岸

    茎が折れて脱落して新芽が2本でたもの
写真2012.8.23柏崎 海岸

            花の拡大写真

写真2012.10.25柏崎海岸
解 説
ゴマノハグサ科
 海岸の砂れきの多い草地に生える多年草。北陸地方から東北地方の日本海側に分布。
 茎は直立して高さ50〜80cm。
 葉は対生(↓写真)葉柄は長さ0.5〜3cm、葉身はやや肉質で卵形または長卵形で長さ3〜15cm、幅1〜5cm、先はやや尖り基部は円形またはくさび形、葉縁には短くとがった鋸歯(下写真)がある。
 葉の表面には光沢があり無毛または短毛を散生し、裏面は無毛のものから短毛が密生するものまである。
 花期は8〜9月。茎の先端に、時には分枝して(下写真)花穂をつくり多数の花をつけ下から上に咲きあがる。花柄は長さ2〜3mm。上向きに曲がった毛がある。ガクは深く4裂し裂片は卵形で尖る。花冠は白〜淡青紫色、下部が筒となり上部は開いて4裂し径7mmほどの大きさ。上部1片は卵円形、側方と下部の3片は卵形、雄しべは2本、花冠の外にのびる。
 さく果は球形で先がやや凹み径4mmほどの大きさ。多数の偏平楕円形の種子をもつ(下写真)
 名前の由来は「越後虎の尾」で、新潟県に多く花の形がオカトラノオに似ていることによるものであろう。



   短く尖った鋸歯

写真2012.8.23柏崎海岸

        果実期
写真2012.10.25柏崎海岸

       対生する葉
写真2012.10.25柏崎海岸

     葉の表裏
写真2012.10.25柏崎海岸