コバネイナゴ
暮らしとの関わり
 コバネイナゴは1940年代までは、イネに多大な被害を及ぼす害虫であった。
 夏の頃に田の畔を通ると、おびただしい数のイナゴが飛び立ったことを憶えている。
 当時、年中行事として行われた虫送りには藁でつくったイナゴの大きな模型を掲げて行進した。
 また、終戦前後の食糧難の時代には、学校で児童生徒に登校時にイナゴ捕りをさせて乾燥したものを出荷してその代価でオルガンなどの備品を購入した。→子どもの暮らし
 手で腹部をつかむと口から褐色の液(消化液)を吐き出し、それが強い臭いを発したことを思い出す。
 コバネイナゴは、現在では田ではほとんど見かけない。
 昨日(2015.9.23)、上石黒の稲刈りの様子を撮影に行った。高床での撮影時、畦を歩くと沢山のコバネイナゴが飛び立つ様子を見て70年前の登校時のイナゴとりのことを思い出した。
 もちろん、当時ほどではないが一斉に飛び立つイナゴの姿には、それ以来初めて出会った。
 一時ははほとんど姿を見られなくなったコバネイナゴが農薬散布の抑制により、こうして姿を現してきているようだ。農作物への被害が深刻にならない程度でコバネイナゴとも共生していければ何よりだと思う。ともかく、懐かしい昔の友にであったような気持ちであった。

参考資料-最近水田でよく見るコバネイナゴ(YouTube)

(写真2010.6.7 寄合 左上の下2007.8.25上石黒)


        ハスの葉を食べるコバネイナゴ

写真2012.8.15 畔屋
解 説
バッタ科
 日本全土に分布。
 イネ科植物の多い湿った草むらや水田に生息。
 体長は、雄が28〜34p、雌が40p内外。
 体色は緑色がかった黄色。側面には黒褐色の線が頭部から尾部まで走っている。背中は淡褐色または緑色。
 はねは短く腹の先端を越えない場合が多いが長いものもある(上写真)
 食草はふつうイネ科植物の葉で、かつてはイネ作に大きな被害をもたらした。
 外敵が近づく、ととまっている葉などの裏側に回り込んで身を隠そうとする習性がある。
 跳躍力に優れ飛翔力もあり逃げ足は速い。捕らえると口から褐色の臭い液を出す。
 卵は地中に産み卵で越冬して翌年の5月ころに孵化して7回ほど脱皮して8月に成虫となる。
 名前の由来は、はねが短いことによる。