ナガエノスギタケ
暮らしとの関わり
 石黒にはしばしば見かけるキノコである。
 上の写真のキノコは下石黒地内の道路から50mほどの雑木山の斜面で出会った。手で引き抜くと長い根のようなものが出て来た。ツエタケのように自然に根本が細くなってのびていないで急に細まるところが特徴だ。
 さっそく、キノコに詳しい下石黒の大橋勝彦さんに尋ねたところナガエノスギタケではないかという。ナガエノスギタケは地中のモグラの巣の便所の跡に発生するといわれ、「モグラノセッチンタケ」とも呼ばれるという。
 家に帰って調べたところ、このキノコがモグラの排泄物跡に発生することを発見したのは日本の相良直彦という京都大学教授だそうである。
 ナガエノスギタケはモグラの排泄物跡に菌糸が伸びると同時に付近の主にブナ科の樹木の細根もそこに伸びて共生し、その結果モグラの排泄物は分解浄化され巣の周辺が汚染も防げ、巣を長く使うことができるのではないかといわれている。→下写真参照
 まさに我々人類がめざす、自然の恵みを生かして自然と共生する未来のエコ住宅は、すでにモグラが数千年にわたって暮らしているとも言えよう。

〔写真撮影上・右 下石黒  下コピー画像〕


ナガエノキズタケの地下部とモグラの巣〔排泄所跡〕
大作晃一・吹春俊光著「きのこワンダーランド」〔山と渓谷社〕よりコピー(承諾済み)

  
    
解 説
フウワンタケ科
 秋に広葉樹林の地上に生える。やや希なキノコ。
 傘の径は3〜10p以上、まんじゅう型からやや中央の盛り上がった平らにひらく。柄の長さは8〜15p。膜質のつばをもつ。ふくらんだ根本は急に細まって根状となって地中に深くのびてモグラの巣にある排泄場所跡に達する。
 食用となり、歯切れ舌触りともによくどんな料理にもあうといわれる。
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