民具補説
         よろぐち(炉縁について)
                   
 昔は一般に地炉(囲炉裏)の縁を「よろぐち」と呼んでいました。方言の語源は「よろぶち」→寄る縁、つまり「家族が寄り集まる縁」であったのでしょうか。
 よろぐちの造りは下図のように枠のつぎめの3カ所は「留め形つなぎ」にして1カ所のみ「相い接ぎ」にしてありました。この相い接ぎの箇所は必ず焚き物入れのある方向に据えてありました。 
 なぜ、この箇所のみ異なるつなぎ方にしてあるのか分かりませんが、魔除けになるとの俗信だと聞いたこともあります。ちなみに、この接ぎ方は棺箱を作るときの接ぎ方で余り縁起のよいものではないので下座に向けたものとも聞いています。


文・図 田辺雄司 (居谷在住)