室内履き草履  
 上の写真のような、布で藁を巻いた鼻緒をつけた草履は主に室内履き草履として現在のスリッパ同様に使われた。
 草履作りはどこの家でも年寄りの仕事で家族分は作ったが中には一冬に百束余り作る家もあった。また、ガマの葉やトウモロコシの葉を使って軽い室内履き草履(右写真)を作る人もいた。
 筆者の祖母も他のわら細工はしなかったが、うち履き草履だけは10足ほど毎年作っていた。

 ズックなどなかった昭和20年(1945)代の子どもたちは学校での内履きはこのわら草履であった。草履は登下校にも履くこともあったが、雨が降り道が濡れるとハネがあがるので裸足で歩いた。(ハネの上がらないアシナカという短いゾウリもあったが主に農作業時に使われることが多かった)
 筆者が小学校入学の頃〔1945〕は草履が学校での内ばきであったが、当時、結核が流行ったため埃が立つという理由で草履の内ばきは禁止となった。貧しい時代であったからズックなどなく結局、全員が冬期も裸足であった。とくに、真冬の朝礼時には足がしびれるほどに冷たかったことを憶えている。 
 また、大抵の子は、かかとに「あかぎれ」ができていて、そこに触られるとひどく痛かったことも忘れられない。



 トウモロコシの葉で作った草履