セイロ    
               大型    台スの表−この上にセイロを据える
 カマドのある家ではセイロ(角セイロ)を使って餅つきの米を蒸した。セイロの底に竹のスノコを敷き更に麻などの目の粗い布を敷いて蒸す。
 蒸し方は1段目をカマドにかけて布が暖まったところで水をきった餅米をなるべくセイロのに押し詰めないように入れた。押し詰めないように注意するの蒸気の流通がよくするためである。
 そして1段目のセイロに湯気が上がる頃に2段目にセイロを同じ要領で重ねた。4段重ねで蒸かすこともあった。
 搗(つ)くときには下のセイロから順に搗いた。1回のセイロで蒸す米の量は4升であった。大抵の家では3〜5臼搗いた。
 カマドのない家では大鍋の上に蒸し桶(丸セイロ)を据え付けて蒸した。少数の家にはオオナベと専用の竈があったのでそれを使った。上の写真の大型のセイロはオオナベの上に据えて使ったものであろう。
 また、酒米(どぶろく)もセイロを使って蒸した。筆者は、酒米のうるち米を蒸かしたものを、子どもの頃、少し食べさせてもらったことがあったが、とてもおいしかったことを忘れない。

 また、トウドヨビなどで大量の赤飯を作る時にも、このセイロを使った。赤飯を作るときには、シト(茶碗入れた水を手で指で振り撒く)をうった。
 また、太平洋戦争直後には金属製の二段式蒸釜を購入する家もあったが、高価で、米2俵と物々交換したという話も村の古老から聞いている。
 これも、村の古老の話だが、上石黒では正月に10臼も餅をついた家もあったという。一俵を超えるもち米となると今では信じられない話である。

参照→年中行事

    台スの裏-つば釜に置く側

       最上段のセイロの蓋