子どもの頃、母親が縫物で使っていた鯨尺の物差しを見て不思議な物差しの様に思われた。また、センチ単位で学習していた子どもには無用の長物であったが、時には遊び道具にしたこともあったらしく、勝手に使うとひどく怒られた記憶がある。
「鯨尺」は、日本古来から使われて来た尺貫法を用いた物差しのことで、鯨のひげを材に用いたことから「くじらじゃく」と名づけられたと伝えられる。
同じ尺でも大工さんが用いる「曲尺(かねじゃく)」とは異なり、曲尺の一尺が約30.3cmであるのに対し、鯨尺の一尺は約38cmである。
ちなみに、これらの単位は尺貫法の廃止に伴い、1959年以降は法定単位ではなくなり使用が禁止されたが、現在では製造販売が認められている。

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