草けずり鍬  
 畑の雑草を削り取る鍬である。作物の株間の草を削り取るために鍬の刃の幅が狭く出来ている。
 また、柄が長いのは腰をかがめずに出来ることと作業範囲を広くするためである。また、刃の幅が狭いのは作物の株と株の間の草を作物を傷めずに削るためである。
 日照りの頃に畑の草を削っておくと雑草は自然に枯れ効率的であった。
 筆者の子どものころには、石黒では使われているのを見たことはない。筆者の記憶ではヘッタ鍬や金鍬を使って器用に畑の草削りをする人もいたが、小鎌を使って手で取るのが正道であり、鍬で畑の草を削るのは邪道のように見られていた。草削り鍬が使い出したのは農作業の機械化や合理化が進んだ昭和の後半であった。しかし、このころから、豆畑や小豆畑も急激に減少したからこの鍬の出番は短かったのではなかろうか。
 その他の使い方としては狭い溝を掘ったり、泥をさらう時に使われた。
 現代もこれと似たような草削り用の鍬がホームセンターなどで売られている。使ってみるとけっこう便利なものである。


民具補説−昔の草削り鍬

    現在の草削り鍬
写真2012.10