子供用キゾリ  
 長い冬もようやく終わりをつげる3月半ば過ぎ、未だ2m余の残雪が晴天の日の朝に硬く凍みる。その雪の上をキゾリに乗った思い出は石黒に生まれ育った者の誰もがもつ楽しい思い出であろう。
 木々の枝が樹氷に覆われ、耳や鼻が痛いほどの朝の寒気の中をキゾリは「カリカリ」と音をたてて滑った。ワラゾリに比べて数段スピードがでた。キゾリは傾斜のやや緩やかな場所でのソリ遊びに適していた。
 しかし、石黒には適した場所は少なかった。急な坂ではワラゾリに比べ安定せずクッションもなく投げ出されてしまうこともあったが、それはそれでスリルがあった。木ぞりは主に高学年の子どもが使った。低学年の子どもはワラゾリが主であった。

民具補説→木ゾリ